
伝統の再構成、テキスタイルデザイナー 張應福
テキスタイルデザイナーであり「モノコレクション」の代表でもある張應福が見た韓国伝統文化は私たちが思っているよりもさらに美しい。
時代を問わず私たちの文化に関して鋭い視線と美的感覚を備え持っている人たちが存在した。伝統の持続可能な価値を追求し、今日では先駆者的文化人として評価されている人々。例えば1930年代、韓国最初の美学者と言える又玄・高裕燮や韓国ブリタニカの創業者で韓国の雑誌界に伝説として残っている「根の深い木」の発行者兼編集者である韓彰璂などなど。張應福に会った帰り道、自然と彼女の名前もその中に加わった。
張應福はテキスタイルデザイナーだ。韓国にテキスタイルデザインという概念が知られ始める前だった1985年にデザイン会社「モノコレクション(Mono Collection)」を立ち上げ、韓国的で洗練されたデザインを披露し、国内テキスタイルデザインの歴史に新たな一ページを刻んだ人物だ。 張應福は韓国の美と情を再解析してパターンを完成させるのだが、それには私たちの文化固有の象徴と意味までもが込められているためさらに美しい。
現在張應福はテキスタイルデザインを基盤として、 家具やインテリアのスタイリング全般を活発に手がけており、毎年個展やグループ展を開き作家としての活動も行っている。また、木やガラス、アルミニウムなどのさまざまな素材と技術、そしてアナログとデジタル、伝統的な方法を融合させる試みを通して韓国の伝統の実用性と活用性を図ると同時に、伝統の持続可能な価値を追求している。
張應福はテキスタイルデザイナーだ。韓国にテキスタイルデザインという概念が知られ始める前だった1985年にデザイン会社「モノコレクション(Mono Collection)」を立ち上げ、韓国的で洗練されたデザインを披露し、国内テキスタイルデザインの歴史に新たな一ページを刻んだ人物だ。 張應福は韓国の美と情を再解析してパターンを完成させるのだが、それには私たちの文化固有の象徴と意味までもが込められているためさらに美しい。
現在張應福はテキスタイルデザインを基盤として、 家具やインテリアのスタイリング全般を活発に手がけており、毎年個展やグループ展を開き作家としての活動も行っている。また、木やガラス、アルミニウムなどのさまざまな素材と技術、そしてアナログとデジタル、伝統的な方法を融合させる試みを通して韓国の伝統の実用性と活用性を図ると同時に、伝統の持続可能な価値を追求している。

展示「借景‐雲耕古宅を楽しむ」、張應福の日よけが美しい © Photograph by YUL KIM
Q. 最近話題になった展示に対する思いを知りたいです。古宅の中を満たすという点で先生にとっては異色の試みであったのではないかと思いますが、展示を終えた今の気持ちはどうですか?
A. 家具デザイナーのハ・ジフンさんと共同で開催した「借景-雲耕古宅を楽しむ」は、余白に関するものだったんです。減らすこと、そしてスケールに関することでした。韓屋はダウンスケールされた建築構造です。ですが、私の幼いころのことを思い出してみると、清の時代の巨大なスケールの中国の家屋に合う家具を置いて生活していました。螺鈿家具のような私たちが持っていた素晴らしいものをすべて捨ててです。雲耕古宅もそうでした。それらを片付け、ハ・ジフンさんが負担にならないスケールで韓国の虎足盤(膳)のようなものなどを製作し設置したことが記憶に残っています。
Q. 産業デザイナーとして活動しながら作家としての展示も続けているのには訳があるのですか?
A. 大衆に何らかの影響を与えたいからです。未来を提示することにもなります。自分自身また大衆の反応を見ながら未来に対する準備をしたりもします。
Q. それでも作家よりもデザイナーと呼ばれることを望まれていますよね。作家とデザイナーはどう違うのですか?
A. 作家は自身が表現しようとしていることをそのまま表現すればよいのですが、デザイナーはそれを使う人のことを考えなければなりません。その人の好みやプロジェクトの用途、機能、活用、その上維持、補修まで考えなければならないのです。建築法を考慮しなければならないこともあります。このようなことはクリエイティブな力を発揮するのに邪魔になります。しかし、デザイナーとしての仕事は大衆と共感するという点がとても魅力的なのです。大衆から認められ称賛されるときがとても幸せなのです。
A. 家具デザイナーのハ・ジフンさんと共同で開催した「借景-雲耕古宅を楽しむ」は、余白に関するものだったんです。減らすこと、そしてスケールに関することでした。韓屋はダウンスケールされた建築構造です。ですが、私の幼いころのことを思い出してみると、清の時代の巨大なスケールの中国の家屋に合う家具を置いて生活していました。螺鈿家具のような私たちが持っていた素晴らしいものをすべて捨ててです。雲耕古宅もそうでした。それらを片付け、ハ・ジフンさんが負担にならないスケールで韓国の虎足盤(膳)のようなものなどを製作し設置したことが記憶に残っています。
Q. 産業デザイナーとして活動しながら作家としての展示も続けているのには訳があるのですか?
A. 大衆に何らかの影響を与えたいからです。未来を提示することにもなります。自分自身また大衆の反応を見ながら未来に対する準備をしたりもします。
Q. それでも作家よりもデザイナーと呼ばれることを望まれていますよね。作家とデザイナーはどう違うのですか?
A. 作家は自身が表現しようとしていることをそのまま表現すればよいのですが、デザイナーはそれを使う人のことを考えなければなりません。その人の好みやプロジェクトの用途、機能、活用、その上維持、補修まで考えなければならないのです。建築法を考慮しなければならないこともあります。このようなことはクリエイティブな力を発揮するのに邪魔になります。しかし、デザイナーとしての仕事は大衆と共感するという点がとても魅力的なのです。大衆から認められ称賛されるときがとても幸せなのです。

モノコレクションのショールーム兼作業場にある作業ボード
「感動は自ずからあふれ出ないといけません。デザインも同じです。自ら感じることができなければデザインすることはできません」
Q. 先生のパターン作業の中では陶磁器を素材としているものが多いですね。
A. 実際に陶磁器を自分の目で見るようになったのはほんの少し前からです。以前は私たちのもの(韓国の伝統的なもの)を見る機会が少なかったんです。今のように博物館が充実し始めたのは最近のことですよね。図録や写真をみながら作業をしていたのですが、今はとても良い資料が整っています。
Q. 陶磁器をパターンとしてどう表現されようとしたのですか?
A. 私だけのオリジナリティーを出そうとしました。「私が見つめている陶磁器の線というものは何だろう?」。韓国的な美しさを表現するとき、私は輸出を念頭に置いたり外国人の好みを考えたりすることはありません。現代の生活に適していて感動を与えることができるという点を追求しています。
A. 実際に陶磁器を自分の目で見るようになったのはほんの少し前からです。以前は私たちのもの(韓国の伝統的なもの)を見る機会が少なかったんです。今のように博物館が充実し始めたのは最近のことですよね。図録や写真をみながら作業をしていたのですが、今はとても良い資料が整っています。
Q. 陶磁器をパターンとしてどう表現されようとしたのですか?
A. 私だけのオリジナリティーを出そうとしました。「私が見つめている陶磁器の線というものは何だろう?」。韓国的な美しさを表現するとき、私は輸出を念頭に置いたり外国人の好みを考えたりすることはありません。現代の生活に適していて感動を与えることができるという点を追求しています。

靑華連牡唐樽 © MONO COLLECTION BY CHANG EUNGBOK
「(ソウルの)ガナアートセンターで陶磁器展があるというので行ってみたのですが、この宝物が展示場の真ん中にガラスの箱で覆われることもなくでんと置かれていました。私は映画のワンシーンのようにその前で固まってしまいました。胸が張り裂けそうな感動を覚えました。1つの白磁の上でハスの花とボタン、唐草模様が調和していました。どんな美術作品からも感じ難い造形美がとても美しく、これを模様としてつくれば高級感のある洗練されたデザインが出来上がるだろうと直感しました。」
Q. 感動を与えるとはどのようなことですか?
A. 街で「美人画」のようなものをたくさん見かけますよね?でも、なぜか感動はありません。感動させ、感動するというものは感覚的なもので、直感的に魅力を感じるものです。魅力を感じるということはその作業に観点を見出さなければならず、その中に意味とエネルギーをしっかりと盛り込まなければならないのです。それがデザイナーの役割なのです。ただスキャンしてプリントすればパターンになったりデザインになったりするものではありません。
A. 街で「美人画」のようなものをたくさん見かけますよね?でも、なぜか感動はありません。感動させ、感動するというものは感覚的なもので、直感的に魅力を感じるものです。魅力を感じるということはその作業に観点を見出さなければならず、その中に意味とエネルギーをしっかりと盛り込まなければならないのです。それがデザイナーの役割なのです。ただスキャンしてプリントすればパターンになったりデザインになったりするものではありません。


モノコレクションのファブリック
Q. 先生も作業するときアナログとデジタル、2つの方法の両方を使うと聞いています。
A. デジタル技法を使うほうがより効果的な場合と、ハンドプリントのほうがより効果的な場合があります。それぞれ結果が違うのです。時間を節約するという側面もありますし。私が初めてテキスタイルを始めたときはポスターカラーで1つ1つ描いていました。クライアントから色を明るくしてくれだとか赤を緑に変えてくれだとか言われると、作業期間は一週間伸びることになりました。また描き直しですからね。荒い質感を出さなければいけないときはそのような質感を出すフィルムを手に入れなければなりませんでした。このような流れを経ているので私のデジタルの使い方はデジタルだけを使ってきた人とは少し違うと思います。
Q. すでに最高のものが出来上がっているからですか?
A. そうですね。そのような質感を出すパターンもインターネットで探せばすべて出てきます。もちろんネットで探すといい場合もあるのですが、実は簡単に見つかるものはあまり感動を与えてくれません。
Q. デジタル作業にとても慣れているようにみえますが。
A. そうですね。10年前からやっていますから。386世代(90年代に30代になり、80年代に大学生活を送った、60年代生まれの世代のこと)なので少し下手ですが、でも作業に必要なことは上手ですよ。私が直接やるようになった理由はもどかしかったからです。オペレーターに何かをお願いすれば、そんなものはない、できないと言うのです。探せばあるはずなのに。だからコンピューターに詳しい友人に3年間、週末ごとに教えてもらいました。プログラムなしで私が「こんなことがしたいんだけど、ファンクションを探しておいて」と頼んでおくと、その友人が探して来てくれるのです。そうやってノウハウを集めました。
Q. パターン1つを完成させるのにだいたいどのくらいかかりますか?
A. パターンによって違います。「これだ!」と感じるまでずっと試行錯誤を続けるのですが、そうでないときはただ放っておきます。壁にかけたまま1年間ずっと眺めるだけのこともあります。そうしているうちに「ピン!」とくることがあるのです。そうかと思えば白磁壺のようなものは、2年もの間陶磁器をただ眺めていただけだったのが、ある日突然陶磁器でパターンをつくろうと思い立ち1時間足らずで描きました。実際に描いたのは1時間ですが、感じるのには2年もかかったということです。デザインというものは急にどうにかなるものではありません。まず、自身が美しさを感じたくさん考え、経験するとある日インスピレーションがわき、完成するのだと思います。
A. デジタル技法を使うほうがより効果的な場合と、ハンドプリントのほうがより効果的な場合があります。それぞれ結果が違うのです。時間を節約するという側面もありますし。私が初めてテキスタイルを始めたときはポスターカラーで1つ1つ描いていました。クライアントから色を明るくしてくれだとか赤を緑に変えてくれだとか言われると、作業期間は一週間伸びることになりました。また描き直しですからね。荒い質感を出さなければいけないときはそのような質感を出すフィルムを手に入れなければなりませんでした。このような流れを経ているので私のデジタルの使い方はデジタルだけを使ってきた人とは少し違うと思います。
Q. すでに最高のものが出来上がっているからですか?
A. そうですね。そのような質感を出すパターンもインターネットで探せばすべて出てきます。もちろんネットで探すといい場合もあるのですが、実は簡単に見つかるものはあまり感動を与えてくれません。
Q. デジタル作業にとても慣れているようにみえますが。
A. そうですね。10年前からやっていますから。386世代(90年代に30代になり、80年代に大学生活を送った、60年代生まれの世代のこと)なので少し下手ですが、でも作業に必要なことは上手ですよ。私が直接やるようになった理由はもどかしかったからです。オペレーターに何かをお願いすれば、そんなものはない、できないと言うのです。探せばあるはずなのに。だからコンピューターに詳しい友人に3年間、週末ごとに教えてもらいました。プログラムなしで私が「こんなことがしたいんだけど、ファンクションを探しておいて」と頼んでおくと、その友人が探して来てくれるのです。そうやってノウハウを集めました。
Q. パターン1つを完成させるのにだいたいどのくらいかかりますか?
A. パターンによって違います。「これだ!」と感じるまでずっと試行錯誤を続けるのですが、そうでないときはただ放っておきます。壁にかけたまま1年間ずっと眺めるだけのこともあります。そうしているうちに「ピン!」とくることがあるのです。そうかと思えば白磁壺のようなものは、2年もの間陶磁器をただ眺めていただけだったのが、ある日突然陶磁器でパターンをつくろうと思い立ち1時間足らずで描きました。実際に描いたのは1時間ですが、感じるのには2年もかかったということです。デザインというものは急にどうにかなるものではありません。まず、自身が美しさを感じたくさん考え、経験するとある日インスピレーションがわき、完成するのだと思います。

バラ © MONO COLLECTION BY CHANG EUNGBOK
「模様のデザインをしていると、原形そのままを生かすと効果的な場合と物の長所を最大限に生かして新しい映像をつくる方が効果的な場合がある。見れば見るほど良い考えが浮かぶこともあるし、一度離れて時間が経ってから再び見直してみたときに斬新な考えが浮かぶこともある。まったく何も考えずに出会った風景にインスピレーションを得ることもある」
Q. 絶えず新しい作業を続けることができる原動力は何ですか?
A. パターンというのは自由な野生の生き物を連続性というフレームの中に閉じ込めるものです。反復から連続性が生まれるでしょう。連続しないと作業は不可能ですし。でも、私はその中にも余白を感じられるように努力しています。フレームに閉じ込められながら自由を表現するからこそさらに楽しいのです。
Q. 先生は韓国的な素材を用いていますが、韓国の美しさとは何だと思いますか?
A. 私は非対称と無計画、またやぼったさや素朴さをいつも挙げます。例えば龍の描かれたゆがんだ白磁壺があります。窯で焼く際に形が崩れ一部がつぶれたのですが、そのままにしておきました。ですが、ちょうど壺から龍が出てくるようなそんなエネルギーが感じられます。
それに、韓屋(韓国の伝統家屋)を見てください。私たち(の先祖)は何かを所有しようとするよりも、それを楽しむことのできる何もない空間と余裕を持っていました。だから大きい家は必要なかったし、庭を造ることもしなかったのです。庭に木を植えてしまうと遠くの山の美しい景色を見ることができなくなるからです。そのような風景と空間、食べ物や生活態度など、広く言うとすべてのことが韓国の美しさとつながっているのです。
Q. このようなことを自然に体得されたのですか?
A. 職人たちと一緒に作業をしながら気づきました。なぜ発酵が良いのか、どのように発酵するのか、なぜ素焼きの器は呼吸をする陶器とよばれるのか、なぜ素焼きの器でだけ発酵ができるのか、このようなことに対する疑問を持ったとき彼らのアトリエを訪れ、数日間生活しながら私が疑問に思ったことに対する答えを得たのです。そうやって体得しました。本を読んだだけではなくね。
A. パターンというのは自由な野生の生き物を連続性というフレームの中に閉じ込めるものです。反復から連続性が生まれるでしょう。連続しないと作業は不可能ですし。でも、私はその中にも余白を感じられるように努力しています。フレームに閉じ込められながら自由を表現するからこそさらに楽しいのです。
Q. 先生は韓国的な素材を用いていますが、韓国の美しさとは何だと思いますか?
A. 私は非対称と無計画、またやぼったさや素朴さをいつも挙げます。例えば龍の描かれたゆがんだ白磁壺があります。窯で焼く際に形が崩れ一部がつぶれたのですが、そのままにしておきました。ですが、ちょうど壺から龍が出てくるようなそんなエネルギーが感じられます。
それに、韓屋(韓国の伝統家屋)を見てください。私たち(の先祖)は何かを所有しようとするよりも、それを楽しむことのできる何もない空間と余裕を持っていました。だから大きい家は必要なかったし、庭を造ることもしなかったのです。庭に木を植えてしまうと遠くの山の美しい景色を見ることができなくなるからです。そのような風景と空間、食べ物や生活態度など、広く言うとすべてのことが韓国の美しさとつながっているのです。
Q. このようなことを自然に体得されたのですか?
A. 職人たちと一緒に作業をしながら気づきました。なぜ発酵が良いのか、どのように発酵するのか、なぜ素焼きの器は呼吸をする陶器とよばれるのか、なぜ素焼きの器でだけ発酵ができるのか、このようなことに対する疑問を持ったとき彼らのアトリエを訪れ、数日間生活しながら私が疑問に思ったことに対する答えを得たのです。そうやって体得しました。本を読んだだけではなくね。

キク © MONO COLLECTION BY CHANG EUNGBOK
「良い絵を描くことだけが良いデザイナーではないと思う。使用する素材の性質をよく知り、どこに使われるか、光とどうマッチングするかを考えて取り組まなければ良いデザインはうまれない。同じように素材の大きさも使用する空間に見合うように決めなければならない。
Q. テキスタイルと直接的な関連はないようですが、伝統を深く理解することができれば良いデザインを生み出すことができるということですか?
A. そうです。私たちはあまりにもコンセプト化されています。トレンドやマーケティングに基づき「これが良いのだ」と思い込まされているのです。簡単に言うと、(ソウルの)西村がホットスポットなんだって。西村が何でホットスポットなの?ホットスポットって言うからそうじゃない?という感じですが、これは違いますよね。自分が好きだから好きだと思い、その感動が自分自身から出てこなければなりません。デザインも同じです。自分が感じることができなければデザインすることはできません。
Q. 最近興味のある韓国的なモチーフは何ですか?
A. 自然です。中でもコケですね。人はパターンと言えば具体的なモチーフがないといけないと考えがちですが、質感もパターンになり得ます。コケや石の表面もパターンになるのです。自然が持つ質感、木の年輪や草原、田などもそうです。
A. そうです。私たちはあまりにもコンセプト化されています。トレンドやマーケティングに基づき「これが良いのだ」と思い込まされているのです。簡単に言うと、(ソウルの)西村がホットスポットなんだって。西村が何でホットスポットなの?ホットスポットって言うからそうじゃない?という感じですが、これは違いますよね。自分が好きだから好きだと思い、その感動が自分自身から出てこなければなりません。デザインも同じです。自分が感じることができなければデザインすることはできません。
Q. 最近興味のある韓国的なモチーフは何ですか?
A. 自然です。中でもコケですね。人はパターンと言えば具体的なモチーフがないといけないと考えがちですが、質感もパターンになり得ます。コケや石の表面もパターンになるのです。自然が持つ質感、木の年輪や草原、田などもそうです。

張應福が携帯電話のカメラで撮った写真からつくったカラーパレット
Q. このカラーパレットではどのような作業をするのですか?
A. 私は非常にたくさんの生地を扱っています。20年以上も経っている生地もあります。これらはどのように組み合わせるかによって違ってきます。なので、こうやって保存しておくとわかりやすいのです。素材の対比もできますしね。だから、何かを始めるときは基本的にこのパレットを開きます。プロジェクトを進めたり、クッション1つをつくったりするときにも使えるのです。
Q. カラーパレットをみると自然からインスピレーションを得ているように感じます。
A. 私は今(ソウル近郊の京畿道にある)汶山に住んでいるのですが、朝の30分間のランニング中に見た、凍りついた植物、エゴマの実を振るい落とした後の殻、それを束ねている青いナイロンのひもがとても美しかったのです。インスピレーションは非常に美しい自然の景観から得ることもできますが、日々の生活環境の中からも得ることができます。美しさは醜いものやゴミの山にもあるのです。
A. 私は非常にたくさんの生地を扱っています。20年以上も経っている生地もあります。これらはどのように組み合わせるかによって違ってきます。なので、こうやって保存しておくとわかりやすいのです。素材の対比もできますしね。だから、何かを始めるときは基本的にこのパレットを開きます。プロジェクトを進めたり、クッション1つをつくったりするときにも使えるのです。
Q. カラーパレットをみると自然からインスピレーションを得ているように感じます。
A. 私は今(ソウル近郊の京畿道にある)汶山に住んでいるのですが、朝の30分間のランニング中に見た、凍りついた植物、エゴマの実を振るい落とした後の殻、それを束ねている青いナイロンのひもがとても美しかったのです。インスピレーションは非常に美しい自然の景観から得ることもできますが、日々の生活環境の中からも得ることができます。美しさは醜いものやゴミの山にもあるのです。

Collaboration tile with kienho

モノコレクションのファブリック
Q. 今まで製作された数百のパターンをすべて記憶されていますか?
A. いいえ。だから頻繁に倉庫に行きます。私が製作した布ですが、記憶に残っていないものもあります。デザイナーたちがよくする失敗は「新しいものをつくる」「大ヒットさせる」「私はまだいける」「今度こそ何かを創り出してやる」という気持ちを持つことです。このような考えはとても危険です。自分がうまくできる部分、自分自身をプロデュースしなければならないのですが、そのような欲のために自身の持っている宝を見いだせないことがあるのです。私もある意味ではこの作業を通じて私が持つアーカイブを改めて振り返ってみているのです。
Q. モノコレクションは大部分がオーダーメイドですが、最近ギフトパッケージがあるのを知りうれしかったです。クッションカバーやキーホルダーのギフトパッケージはどうやって製作されることになったのですか?
A. クッションは家具とマッチしているアクセサリーですが、それ自体も家具になり得ます。座って生活する私たちにとってクッションや座布団は家具と同じです。そんなところが良かったのです。それに人々はクッションカバーをプレゼントにもらうととても喜びます。これ1つでリビングで韓国だということを感じることができますよね。私は生地を製作していますが、製品の販売はあまりしていません。ですが、他の製品を減らしてまでもクッションを増やしました。このショールームに来れば、思う存分クッションカバーを選ぶことができます。それを箱に詰めます。海外に出られる方には簡単にファブリックパウチに入れることもあります。その中に私たちのヒストリーやパターンに対する説明書も入れます。魚のキーホルダーは端切れを使って作っています。張應福式の「かけら集め」です。1つ1つ手作業で作っているんですよ。
A. いいえ。だから頻繁に倉庫に行きます。私が製作した布ですが、記憶に残っていないものもあります。デザイナーたちがよくする失敗は「新しいものをつくる」「大ヒットさせる」「私はまだいける」「今度こそ何かを創り出してやる」という気持ちを持つことです。このような考えはとても危険です。自分がうまくできる部分、自分自身をプロデュースしなければならないのですが、そのような欲のために自身の持っている宝を見いだせないことがあるのです。私もある意味ではこの作業を通じて私が持つアーカイブを改めて振り返ってみているのです。
Q. モノコレクションは大部分がオーダーメイドですが、最近ギフトパッケージがあるのを知りうれしかったです。クッションカバーやキーホルダーのギフトパッケージはどうやって製作されることになったのですか?
A. クッションは家具とマッチしているアクセサリーですが、それ自体も家具になり得ます。座って生活する私たちにとってクッションや座布団は家具と同じです。そんなところが良かったのです。それに人々はクッションカバーをプレゼントにもらうととても喜びます。これ1つでリビングで韓国だということを感じることができますよね。私は生地を製作していますが、製品の販売はあまりしていません。ですが、他の製品を減らしてまでもクッションを増やしました。このショールームに来れば、思う存分クッションカバーを選ぶことができます。それを箱に詰めます。海外に出られる方には簡単にファブリックパウチに入れることもあります。その中に私たちのヒストリーやパターンに対する説明書も入れます。魚のキーホルダーは端切れを使って作っています。張應福式の「かけら集め」です。1つ1つ手作業で作っているんですよ。

モノコレクションのギフトパッケージ

2017年に出版された張應福のパターンブック「模様」。「模様」は韓国語でパターンという意味
Q. 先生のこれからの目標は何ですか?
A. 私が長生きするとすれば、これからあと30年何をするか考えてみました。できればワークショップをしてみたいですね。パターン以外にもテクスチャーを表現する伝統の染めなどを現代的なデザインと調和させ韓国の美しさを私なりの方法で表現してみたいです。深みのある感性を出したいのです。パターンは視覚的に目につきますよね。それよりももう少し自然の色に近づけた深みのある質感と色、そのようなもので染めてみたいのです。だから今、韓国伝統の織り方と染色、さらに漆塗りまで習っています。忙しい合間を縫って習い始めてもう5年ほどになりました。直接やることもありますが、それを知ってこそ長所を生かし新しい方向性を提示することができますから。
A. 私が長生きするとすれば、これからあと30年何をするか考えてみました。できればワークショップをしてみたいですね。パターン以外にもテクスチャーを表現する伝統の染めなどを現代的なデザインと調和させ韓国の美しさを私なりの方法で表現してみたいです。深みのある感性を出したいのです。パターンは視覚的に目につきますよね。それよりももう少し自然の色に近づけた深みのある質感と色、そのようなもので染めてみたいのです。だから今、韓国伝統の織り方と染色、さらに漆塗りまで習っています。忙しい合間を縫って習い始めてもう5年ほどになりました。直接やることもありますが、それを知ってこそ長所を生かし新しい方向性を提示することができますから。

モノコレクションのショールーム兼作業場にて張應福
Q. 韓国の伝統に対する使命感のようなものですか?
A. そういうことではありません。使命感のようなものはありません。ただデザイナーとして韓国が持っているコンテンツを愛し、好きであるから続けているのです。それに、このようなことは現実的に維持できなければ消滅するしかありませんよね。このような大切なものがずっと維持できていけばと思います。
Q. 9月に新しい展示が開かれるとうかがいました。
A. 中正ギャラリーで、山を撮る写真家のキム・ドンユルさんと一緒に開く二人展ですね。 私の古くからの友人で、写真がほかの人たちとは少し違います。無心なんです。でも私はその無心さが好きなのです。9月3日から24日までですが、おもしろい展示になると思いますよ。
モノコレクション
住所 ソウル市鐘路区紫霞門路10ギル17、2階
問い合わせ +82-2-517-5170
ホームページ monocollection.com
A. そういうことではありません。使命感のようなものはありません。ただデザイナーとして韓国が持っているコンテンツを愛し、好きであるから続けているのです。それに、このようなことは現実的に維持できなければ消滅するしかありませんよね。このような大切なものがずっと維持できていけばと思います。
Q. 9月に新しい展示が開かれるとうかがいました。
A. 中正ギャラリーで、山を撮る写真家のキム・ドンユルさんと一緒に開く二人展ですね。 私の古くからの友人で、写真がほかの人たちとは少し違います。無心なんです。でも私はその無心さが好きなのです。9月3日から24日までですが、おもしろい展示になると思いますよ。
モノコレクション
住所 ソウル市鐘路区紫霞門路10ギル17、2階
問い合わせ +82-2-517-5170
ホームページ monocollection.com