ART & CULTURE

清の陶磁器のかけらの上に置かれたイ・テクスの器

同時代の工芸
伝統的な美的感覚を保ちながら現代的な実用性も考えた、ソウルを代表する工芸ギャラリー2カ所、ススドムドムと工芸長生壺を訪れた。
工芸が純粋な美術と異なる点は、実用性にある。純粋な美術は作品そのものに鑑賞と装飾の価値があればよいが、工芸の任務は美しさと実用性にある。両方が完全に共存することで、工芸芸術品の役割を果たすことになるのだ。

イ・インジンの小皿

イ・セヨンの皿

サバルと茶碗の間の器
もちろん、実用性は歳月や使う人によって変わることもある。代表的なのがサバル(鉢)だ。
約600年前に江戸幕府と武士たちが熱狂した茶碗は、朝鮮のサバルだった。蔑視されていた朝鮮の陶工たちが作ったサバルは、大きいものは汁椀、小さいものは飯椀として使われた。もっと小さなものにはおかずを盛り付けた。そもそも抹茶を入れるはずがない品物だった。しかし、美しさにのみこうべを垂れるという伝説の茶人、千利休は華やかで流麗な唐の茶器ではなく、節制された素朴なサバルにこうべを垂れた。その後、朝鮮のサバルは飯ではなく茶を、そして日本の権力の精神をも入れる器となった。
朝鮮から600年を隔てた現在、実用性を保ちながらも長い伝統に裏付けられた美的感覚を継承し、応用している工芸ギャラリーを訪れた。

遠くに南山が見えるススドムドムの全景

伝統に今日という時間を加えた、ススドムドム
パク・ヨスク画廊のパク・ヨスク代表が2015年、ミラノトリエンナーレ・デザインミュージアムで韓国工芸展示館の監督を務めた際の展示タイトルは「スス、ドムドム、ウンウン(控え目、淡々、柔らかい)」だった。誰もが大きく華やかなものに注目するが、パク・ヨスク代表は韓国工芸の美しさが「控えめで淡々として柔らかい」ものにあると考えた。展示は成功した。その後、ソウルの清潭洞にあったパク・ヨスク画廊を竜山区素月路に移転し、ファインアートギャラリーに加えて韓国工芸を紹介することを計画した。建物の建築時、地下1階と1階はパク・ヨスク画廊、2階は工芸作品ギャラリー「ススドムドム」にした。そして、3階は茶室と展示室とし、客を迎えている。

クォン・デソプのサバル3種。膳は古家具

クォン・デソプのサバル。チョン・サンギルの生漆トゥレバン(台つきの膳)

イ・インジンの急須と熟盂(茶道で沸かした湯を冷ますために使う鉢)、茶器

工芸品は鑑賞するだけでなく使えるものでなければならない。そのため、ススドムドムでは客を招くために長いテーブルと大きなキッチンを設置した。ギャラリーの作品を使って客用の膳を準備し、もてなす。これは工芸品の本質でもある。
画廊を梨泰院に移転した後、最初にタルハンアリ(白磁の壺)で有名な陶芸家のクォン・デソプの展示を行ったという事実は、このギャラリーが目指すところが何かをよく表している。韓国の人気グループ、BTS(防弾少年団)のリーダー、RM(アールエム)がクォン・デソプのタルハンアリを購入してSNS(交流サイト)に投稿し、大きな話題を集めた。RMは、先ごろ彼の展示「サバル」でもサバルを購入した。クォン・デソプをはじめパク・ソンウク、アン・シソン、イ・ギョンノ、イ・ホンジョン、イ・インジン、イ・テクスなどの作品がススドムドムを通じて紹介された。

イ・ギョンノの作品が展示された陳列台

イ・ギョンノの銀入糸の火鉢と四角盒(ふた付きの鉢)

イ・ギョンノの白銅3段円形盒

「朝鮮の美しさは控えめで淡々としています。単純ですがユーモアが利いていて、美しいのです。ですから最初は目立ちませんが、見れば見るほど情がわいて暖かく、親しみが感じられることが韓国風の芸術性です」。そのため、ススドムドムの作品は華やかというより全体的に素朴に見えるが、ふとした瞬間に映るその美しさが強く濃密に感じられる。
パク・ヨスク代表は最近、国家指定銀入糸(金属器の表面に溝を刻み、金や銀を打ちこむ技法)匠のイ・ギョンノとの共同作業を楽しんでいる。十分な技術を持ちながらも伝統と現代の間で悩む作家とともに、デザインや用途などの作業コンセプトを立てた。その結果が満足いくものだったので、やりがいを感じている。イ・ギョンノとの作品は、2021年に開催される清州工芸ビエンナーレで紹介する計画だ。
もちろん、ススドムドムを訪れればその時々の作品を見ることができる。

パク・ヨスク画廊のギャラリー展示全景。李禹煥(リ・ウーファン)の絵とクォン・デソプのタルハンアリが見える。

住所 ソウル市竜山区素月路38キル30-34
電話 +82-2-549-7575
ホームページ www.parkryusookgallery.com
 
伝統の素朴な味わいが現代の好みと出会う時、工芸長生壺

ヘイン窯の白磁の梅花紋茶缶(急須)

ソウル市鍾路区仁寺洞にある工芸長生壺は、蓄積された経験による審美眼と個人的な趣味が出会って生まれた工芸ギャラリーだ。母が仁寺洞で40年間古美術商の「古美術長生壺」を営み、自然と韓国の古美術と伝統を見る目が養われたチョン・ヒョンジュ代表がオープンした空間だ。仁寺洞の歩道のブロックの下で、古美術長生壺と工芸長生壺の時間の根がつながったことになる。
「このようなコンセプトを持つギャラリーはあまりありません。工芸品を展示する大きなギャラリーや美術館はたくさんあるので、限定的で自分の好みに合う小規模のギャラリーが一つぐらいあってもいいと思いました」
変化と多くの浮き沈みを経てはいるが、それでも仁寺洞は仁寺洞だ。通りに入ると、多くのギャラリーや表具店が目に入る。

工芸長生壺の店内全景

ヘイン窯の白磁の角面花瓶、マグ

イ・ジェウォンの黒釉四角皿

工芸長生壺には陶磁器や生活磁器が多い。それを基本にさまざまなオブジェや作品を加え、一緒に紹介しているが、考え方や趣味が合う若い工芸家の作品が主になっている。白磁をメーンに作るヘイン窯のキム・サンイン、編み物を使って装飾用オブジェを作るオ・ス、ガラス工芸のキム・ウンジュなど、好みや審美眼に合う作家の作品が扱われている。
作りたいプロジェクトも多い。先ごろ韓国の茶文化を広めるオクイン茶室、昔の活版印刷を蘇らせたキッ(giid)、そしてさまざまなアーティストとともに「閭巷工芸」というプロジェクトも行った。「2020年工芸ウイーク」の一環としての行事だった。
朝鮮王朝時代後期、経済的に余裕があった中人階級の趣味であり、文化活動だった「閭巷文化」に目を付けたのだ。当時の中人の間では、集まって好きな詩をそらんじたり、絵を購入して自慢したり、器楽や歌舞を楽しんだりすることが流行していた。インスタグラムで旅行や消費活動をひけらかすような文化が18世紀にもあり、中人たちのぜいたく自慢だったといえる。

ヘイン窯の白磁の鉢盂(僧侶が使う食器)

来年1月ごろには、「露天焼成」と呼ばれる窯を使わず屋外で焼く昔の方法を再現して作った現代の陶芸作品を、三国時代の土器とともに展示する予定だ。過去の無形の伝統が現代にどのように具現され、どのような作品になるか試みることもチョン・ヒョンジュ代表の楽しみだ。工芸長生壺では過去の韓国工芸と現代の実用性、そして感覚が出会い、第3の作品として完成する好例を確認することができる。

高麗青磁のサバルと朝鮮白磁のハンアリ(壺)、キム・ウンジュのガラスの鳥など、伝統と現代が調和した作品が並べられている。

石像の間から見える工芸長生壺の店名

ヘイン窯の白磁のタルハンアリ

住所 ソウル市鍾路区仁寺洞10キル23-4
電話 +82-739-5575
インスタグラム www.instagram.com/jangsaengho
 
January 2021 編集:鄭宰旭
写真:金晙

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  • January 2021
  • 編集: 鄭宰旭
  • 写真: 金晙
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