ART & CULTURE

Urs Fischer, Untitled, 2011, © Urs Fischer, Courtesy Galerie Eva Presenhuber, Zurich. Photo : Stefan Altenburger / Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier

フランソワ・ピノーの夢、ブルス・ドゥ・コメルス
個人が収集できる芸術品は、果たしてどれぐらいあるだろうか?その限界を知りたいなら、パリのブルス・ドゥ・コメルスを訪れてみよう。ケリンググループの創業者で、アートコレクターでもあるフランソワ・ピノーの新しい現代美術館がパリにオープンした。
フランス・パリでは5月に長い間施行されてきた通行制限が解除され、レストランやバーのテラスが開放されて活気を取り戻し始めた。6月に訪れたパリの交通の中心地、レ・アール(Les Halles)にもにぎわいが戻った。約7年のリノベーション期間を経て2018年にリニューアルオープンしたショッピングモール、ウエストフィールド・フォーラム・デ・アール(Westfiled Forum des Halles) の隣のネルソン・マンデラ公園(旧レ・アール公園)でも、多くの人が夏の日差しを楽しんでいる。ネルソン・マンデラ公園の端には、今回の通行制限解除に合わせて5月22日にオープンした、ケリング(Kering) グループの創業主でアートコレクターのフランソワ・ピノー(François Pinault)の新しい現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス(Bourse de Commerce)」がある。

Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier. / Photo Vladimir Partalo

「初めはただ手の届かない夢だと思っていた。そんな夢がさらに大きな熱望になり、いまその熱望が現実になった。いつか私が愛してやまない都市、パリで自分のコレクションを公開できることを長い間願っていた。そのような点で、今回のオープニングは個人的にとても意味のある瞬間だ」

フランソワ・ピノー

Drapeau, décembre 2020 © Studio Bouroullec, Courtesy Bourse de Commerce - Pinault Collection / Photo Studio Bouroullec

Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier / Photo Vladimir Partalo

© Studio Bouroullec, Courtesy Bourse de Commerce - Pinault Collection / Photo Studio Bouroullec

84歳のコレクターの夢と美術館
都市の再オープンとともに、これまで休館していたパリの多くのミュージアムや美術館も来館客を再び受け入れ始めた。なかでも、ブルス・ドゥ・コメルスは今夏、パリの芸術界で最もホットな美術館として浮上した。パリの中心にあるランドマーク的な建物であること以外にも、約1万点以上のフランソワ・ピノーのコレクションを見ることができる空間としてオープン前から話題を集めた。そのおかげか、新型コロナウイルスの感染拡大で観光客がほとんどいない期間であるにもかかわらず、ブルス・ドゥ・コメルスは1カ月後まで予約で埋まっているほどパリジャンから愛されている。

Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier / Photo Marc Domage

フランソワ・ピノーは2000年にパリ郊外、セーヌ川のセガン島に自身の名を冠したミュージアムを建てようとしたが、さまざまな理由で結局断念せざるを得なかった。その代わり、イタリアのベネチアに二つのピノー・コレクション美術館、パラッツォ・グラッシ(Palazzo Grassi)とプンタ・デラ・ドガーナ(Punta Della Dogana)を相次いでオープンし、芸術界で存在感を誇示してきた。だが、彼の永遠のライバルといえるLVMHグループのベルナール・アルノー会長が2014年、先んじてパリのブローニュの森にフォンダシオン・ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton) 美術館を開館し、歓迎される様子を見てさらに刺激を受けたのかもしれない。フランスを代表する事業家である二人は、同じような領域で事業を運営してきた。ラグジュアリービジネスに最初に目をつけたベルナール・アルノーが財力面では優勢だが、オークション大手、クリスティーズのオーナーであり、コレクターとしての感覚は一枚上手と評されるフランソワ・ピノーだけに、パリに美術館をオープンするのに先を越されたことを悔しがったとのうわさも聞こえてくる。そんな中、2016年にパリ市からブルス・ドゥ・コメルスの建物の復元と今後50年間の運営権を提案され、パリに美術館を開こうとしていた夢を84歳にして叶えることになったのだ。

) Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier / Photo Maxime Tétard, Studio Les Graphiquants, Paris

Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier / Photo Maxime Tétard, Studio Les Graphiquants, Paris

「建築家の仕事は過去、現在、未来をつなぐことだ。ブルス・ドゥ・コメルスに込められたいにしえのパリの記憶を思い起こし、その過去と新しい現在の対話を引き出すことができる新たな構造物を加えようとした」

ブルス・ドゥ・コメルスの建築家、安藤忠雄
ピノー・コレクションのパートナー、建築家の安藤忠雄
ブルス・ドゥ・コメルスは気品あるネオクラシック様式と、中央の広いロタンダ(円形の建物)の上の華やかなドームで知られる建物で、これまではパリ商工会議所が使用してきた。もともとは1763年に穀物貯蔵所として建てられたが、1889年に商品取引所に変わり、当時の新技術を利用したメタルとガラスでできたドームとともに、2世紀にわたる歴史が刻まれた建築物として生まれ変わった。
そんなブルス・ドゥ・コメルスに21世紀の建築を加えて新たに誕生させた主人公は、建築家の安藤忠雄だ。彼は、ベネチアにオープンしたピノー・コレクションの美術館であるパラッツォ・グラッシとプンタ・デラ・ドガーナを成功裏に完成させた。
 

Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier / Photo Patrick Tourneboeuf

ブルス・ドゥ・コメルスはローマのパンテオンからインスピレーションを得た高さ9メートル、直径30メートルのシリンダー型コンクリート壁をロタンダに建て、シンプルで詩的な建築スタイルを取り入れた。建物は外観から内部の機械室に至るまで昔の姿をそのまま再現するべく、職人たちの伝統技術と最新テクノロジーを利用した復元作業が行われた。新技法のグレージングによって自然光から作品を保護し、熱効率性を高めたドームの特殊ガラスから見える空は、雲と光の変化だけでも一つの作品のような印象を与える。ガラスドームの下では世界の貿易の発達を描いたフレスコ画が天井を覆っている。帝国主義を描写したという批判もあるが、これもまた原型どおりに復元することで現代的な展示空間との対比を最大化した。

Drapeau, décembre 2020 © Studio Bouroullec, Courtesy Bourse de Commerce - Pinault Collection / Photo Studio Bouroullec

Ronan et Erwan Bouroullec, Luminaire, escalier 19e © Studio Bouroullec / Courtesy Bourse de Commerce - Pinault Collection

建物の1階と2階には、展示空間とアトリエがある。地下2階にはさまざまなイベントを行うことができるオーディトリアムとビデオ、サウンドインスタレーションのためのスタジオを、3階にはレストランとカフェを含む休憩スペースを作った。建物の内部、外部とレストラン、カフェに置かれた家具や照明は、フランソワ・ピノーと同じブルターニュ出身の兄弟デザイナー、ロナン&エルワン・ブルレック(Ronan &ErwanBouroullec)が担当した。

Sherrie Levine, After Russell Lee, 2016 / Courtesy Sherrie LevineRichard Prince, Untitled (Cowboy), 2015 © Richard Prince / Courtesy Gagosian and the artist.Michel Journiac, 24 heures de la vie d'une femme ordinaire, 1974 © Michel Journiac / ADAGP, Paris 2020 / Courtesy Galerie Christophe GaillardPhoto : Aurélien Mole / Bourse de Commerce — Pinault Collection © Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier

オープニング展示
ブルス・ドゥ・コメルスのオープニング展示のタイトルは、その名の通り「オープニング」だ。地下2階から地上2階まで続く展示空間には彫刻、写真、絵画、インスタレーション作品が空間ごとに配置されている。ロタンダで展示されるウルス・フィッシャー(Urs Fischer)の「サビニの女たちの略奪」と椅子のシリーズをはじめ、ピエール・ユイグ(Pierre Huyghe)、ベルトラン・ラヴィエ(Bertrand Lavier)、デイヴィッド・ハモンズ(David Hammons)などフランソワ・ピノーと縁の深いアーティスト32人の作品を、これまで紹介されてないコレクションを中心に展示している。
ここでは、これからも膨大なピノー・コレクションを紹介する予定だ。少し関心を寄せるだけでも無名のアーティストの株価が急上昇するほど大きな影響力を持つフランソワ・ピノー。それだけに、多くの新人アーティストを紹介する新たなプラットフォームとしての地位を確立すると期待されている。
 

Maurizio Cattelan, Others, 2018 © Maurizio Cattelan / Courtesy de l'artiste et de Bourse de Commerce - Pinault Collection. Photo Marc Domage

Ryan Gander, I... I... I…, 2019 © Ryan Gander / ADAGP, Paris 2021 Exhibition view: Ouverture, Bourse de Commerce - Pinault Collection, Paris, 2021 / Courtesy the artist and Bourse de Commerce - Pinault Collection / Photo: Aurélien Mole

住所 2 Rue de Viarmes, 75001 Paris
電話 +33 1 55 04 60 60
開館時間 毎日11:00~19:00(火曜日休館)
ホームページ ブルス・ドゥ・コメルス
September 2021 編集:鄭宰旭
文:鄭載勲
資料提供: ブルス・ドゥ・コメルス

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