
クラシックギター職人、オム・ホンシク
祖父と父に続き、三代にわたりクラシックギターを作る職人、オム・ホンシクに会った。国内外の多くの演奏家がステージで「オムギター」を演奏する理由が気になった。
20歳のアンドレス・セゴビア・トレス(Andrés Segovia Torres)がマドリードのエル・アテネオ劇場でプロの演奏家として初舞台を踏むまで、音楽関係者や聴衆たちはギターはクラシック音楽には合わない楽器だと考えていた。当時、ギターは主にサロン音楽の楽器だという限界にとらわれ、他の楽器との協演は難しかった。他の楽器に比べて出る音が小さく、小規模な演奏場所や室内楽で演奏されるにとどまっていた。セゴビアは、ギターの音量を上げるために楽器製作者と協力してギター自体の形も変え、良質の木材とナイロン弦を使用した。そうして、より大きなボリュームの音が出る今日のクラシックギターを作り出した。



ギターの製作過程
三代が積み上げたノウハウ
1932年、韓国ではオム・サンオクが隣の家のお兄さんから借りたギターで研究を重ねた末に初めてギターを作った。日本の植民地時代からの解放と朝鮮戦争を経て、オム・サンオクは「ダイヤモンド弦楽器製作所」という名前を掲げて本格的にギターを作り始めた。中古家具から集めた木材と、米軍が残していったギターを分解して新しいギターを作り、販売したのだ。ギター製作は息子のオム・テフンに引き継がれ、この時から「オムギター」という名前で知られるようになった。彼はクラシックギター製作者兼演奏家として活動し、オムギターを韓国最高のクラシックギター製作所へと押し上げた。
そして、彼の製作ノウハウは三代目のオム・ホンシクに引き継がれている。
オム・ホンシクは、もともと日本を経てスウェーデンで携帯電話の技術関連のエンジニアとして働いていた。言うなれば、真面目な工学部の学生が感性的な楽器を作り始めたことになる。楽器が出す音は感性的だが、製作過程は徹底的に工業の連続だ。生じた問題を把握し、解決策を研究し、見つけなければならない。彼が会社でしていた仕事と変わらないプロセスだ。
そして、彼の製作ノウハウは三代目のオム・ホンシクに引き継がれている。
オム・ホンシクは、もともと日本を経てスウェーデンで携帯電話の技術関連のエンジニアとして働いていた。言うなれば、真面目な工学部の学生が感性的な楽器を作り始めたことになる。楽器が出す音は感性的だが、製作過程は徹底的に工業の連続だ。生じた問題を把握し、解決策を研究し、見つけなければならない。彼が会社でしていた仕事と変わらないプロセスだ。

工房の内部全景
Q. 最近はどのように過ごしていますか?
A. ギター製作と完全な音の再生という部分で、しばらく限界を感じていました。それで自分だけの音を探そうと、対外活動やイベントを減らして研究と製作に没頭しました。ところが、新型コロナウイルスのせいで思いがけずその期間が長くなってしまいました。
Q. どのような限界ですか?
A. クラシックギターを作る人々には、常に音量に対する悩みがあります。コードをつながないので、ステージではマイクを立てて演奏しなければなりませんが、舞台のコンディションやスピーカーの状態によって音が変わるんです。演奏家にとってはそのような部分がストレスになることもあります。私が製作したギターは音が美しいとよくほめられますが、どうすればもう少し豊かな音量と多彩な音を出せるか悩み続けています。
Q. よい楽器を持っていても、残りは演奏家の実力が重要なのではないでしょうか?
A. 世界的な演奏家が多彩な感性で表現する演奏を、音がしっかり支えなくてはなりませんよね。悲しい曲を演奏しているのに、はつらつとした明るい音が出てはいけません。それはミハエル・シューマッハ(伝説的なF1ドライバー)に軽自動車を与えてサーキットを走らせるようなものだからです。
A. ギター製作と完全な音の再生という部分で、しばらく限界を感じていました。それで自分だけの音を探そうと、対外活動やイベントを減らして研究と製作に没頭しました。ところが、新型コロナウイルスのせいで思いがけずその期間が長くなってしまいました。
Q. どのような限界ですか?
A. クラシックギターを作る人々には、常に音量に対する悩みがあります。コードをつながないので、ステージではマイクを立てて演奏しなければなりませんが、舞台のコンディションやスピーカーの状態によって音が変わるんです。演奏家にとってはそのような部分がストレスになることもあります。私が製作したギターは音が美しいとよくほめられますが、どうすればもう少し豊かな音量と多彩な音を出せるか悩み続けています。
Q. よい楽器を持っていても、残りは演奏家の実力が重要なのではないでしょうか?
A. 世界的な演奏家が多彩な感性で表現する演奏を、音がしっかり支えなくてはなりませんよね。悲しい曲を演奏しているのに、はつらつとした明るい音が出てはいけません。それはミハエル・シューマッハ(伝説的なF1ドライバー)に軽自動車を与えてサーキットを走らせるようなものだからです。



オム・ホンシクは2本のギターを持ってきて音を聞かせてくれた。どちらもオムギターで作ったものだが、材質や技術、製作時間が異なり、価格も2倍以上の差がある。同じ位置の弦を弾いても、響きや余韻、音が作り出す密度は明らかな違いがあった。
Q. 聞いてみると確実に違いがありますね。
A. そうでしょう。この音を見つけるまでに4年かかりました。
Q. 聞いてみると確実に違いがありますね。
A. そうでしょう。この音を見つけるまでに4年かかりました。
エンジニアからギター職人に
Q. なぜギター製作の道に進んだのですか?もともとは日本を経てスウェーデンの携帯電話メーカーでエンジニアとして働いていたそうですが。
A. 父は、私がコンピューター関連の仕事をするのを誇りにしていました。実は私がギター製作を始める前に、まず別の業界を経験しろと勧められたんです。そのような経験をした後、父が高齢になったこともあり、自分もそろそろギターを作らなければならないと考えました。
Q. お祖父さんは韓国で初めてギターを作った方ですね。
A. はい。祖父は韓国で初めてギターを作りましたが、その時はただ外国のギターを分解して再現することに意義を見いだしていました。父の時代はそれを乗り越え、ギターで一時代を築きました。私は父の技術と個性を学びましたが、それをそのまま受け継いではいません。自分だけのスタイルを探しています。最近の演奏家が好むモダンなスタイルを補完しながら進んでいます。
Q. そのような流れが感じられますか?
A. 2000年代に入り、クラシックも大きく変わりました。堅苦しい演奏から脱して、演奏家も新しいことにチャレンジしています。全体的に楽器が高価なので一度購入すると長い間使うということもありますが、若い新人演奏家たちは楽器に対するさまざまなニーズがあります。トレンディーな方向に変わっています。
A. 父は、私がコンピューター関連の仕事をするのを誇りにしていました。実は私がギター製作を始める前に、まず別の業界を経験しろと勧められたんです。そのような経験をした後、父が高齢になったこともあり、自分もそろそろギターを作らなければならないと考えました。
Q. お祖父さんは韓国で初めてギターを作った方ですね。
A. はい。祖父は韓国で初めてギターを作りましたが、その時はただ外国のギターを分解して再現することに意義を見いだしていました。父の時代はそれを乗り越え、ギターで一時代を築きました。私は父の技術と個性を学びましたが、それをそのまま受け継いではいません。自分だけのスタイルを探しています。最近の演奏家が好むモダンなスタイルを補完しながら進んでいます。
Q. そのような流れが感じられますか?
A. 2000年代に入り、クラシックも大きく変わりました。堅苦しい演奏から脱して、演奏家も新しいことにチャレンジしています。全体的に楽器が高価なので一度購入すると長い間使うということもありますが、若い新人演奏家たちは楽器に対するさまざまなニーズがあります。トレンディーな方向に変わっています。


ギター製作のための道具類
Q. 会社員生活、なかでもIT業界で働いた経験は、今のクラシックギター製作に役立っていますか?
A. 直感や感覚だけで作るのではなく、構造や付属品一つ一つについて使い道や役割を理解することが重要だと考えています。私が会社でしていた仕事は、問題の分析と解決策の導出でした。なぜこのような問題が発生したのかを分析し、問題を解決するパートマネージャーとして働いていたんです。そのため、楽器を作る時にも正確な理解と分析を経て改善する過程が当たり前になりました。数本の楽器を同時に比較・修正しながら作っています。
A. 直感や感覚だけで作るのではなく、構造や付属品一つ一つについて使い道や役割を理解することが重要だと考えています。私が会社でしていた仕事は、問題の分析と解決策の導出でした。なぜこのような問題が発生したのかを分析し、問題を解決するパートマネージャーとして働いていたんです。そのため、楽器を作る時にも正確な理解と分析を経て改善する過程が当たり前になりました。数本の楽器を同時に比較・修正しながら作っています。
ギターで旅行する
Q. 海外のクラシックギターの製作現場もたくさんご覧になったと思いますが、いかがでしたか?
A. ドイツでギター製作をしている父の知人がいます。以前は非常に伝統的な方法で製作していましたが、数年前に行くと現代的な製作システムに変わっていました。設計も同様です。父もそれを見て、韓国に戻ると完全にそれまでの方法を覆しました。システムを変更したんです。以前から必要性を感じていたものの、「上手くできるだろうか」という心配が先に立っていましたが、親しい知人が変えたことで確信が生まれたんですね。
Q. クラシックギターの製作は、主にどの国で学びましたか?国によって製作方式に違いはありますか?
A. ドイツやカナダ、米国などにさまざまな教育課程があります。国によって、製作する際に木を削る方向や組み立て方法に少し違いがありますが、それ以外の部分は大きく変わりません。その代わり、彼らには長い伝統と経験によって積み重ねたノウハウがあります。そうすれば楽で簡単に製作することができます。ほとんどの製品で価格帯に応じた製作方法のノウハウがあるようです。
A. ドイツでギター製作をしている父の知人がいます。以前は非常に伝統的な方法で製作していましたが、数年前に行くと現代的な製作システムに変わっていました。設計も同様です。父もそれを見て、韓国に戻ると完全にそれまでの方法を覆しました。システムを変更したんです。以前から必要性を感じていたものの、「上手くできるだろうか」という心配が先に立っていましたが、親しい知人が変えたことで確信が生まれたんですね。
Q. クラシックギターの製作は、主にどの国で学びましたか?国によって製作方式に違いはありますか?
A. ドイツやカナダ、米国などにさまざまな教育課程があります。国によって、製作する際に木を削る方向や組み立て方法に少し違いがありますが、それ以外の部分は大きく変わりません。その代わり、彼らには長い伝統と経験によって積み重ねたノウハウがあります。そうすれば楽で簡単に製作することができます。ほとんどの製品で価格帯に応じた製作方法のノウハウがあるようです。

木の種類によってギターの音はさまざまだ。
Q. ギターを作る際に助言やサポートを受ける演奏家はいますか?
A. 国内ではペ・ジャンフムさんとそのような交流をしています。彼は私が試験的に作ったギターに対して、画期的で音が気に入ったのでその設計で進めてみろと励ましてくれました。今は故人になられたクラシックギタリストのソ・ジョンシル先生も、自分だけのギターの音を作るにあたってたくさんの助言をしてくださいました。
Q. オム・ホンシクさんのギターは演奏家だけでなく、ギターマニアにとっても大きなプレゼントであり、記念になりそうです。ギターを購入するにはどのような手続きが必要なのか教えてください。オーダーメードでしょうか?
A. 演奏家と音楽について理解した上でギターを製作しているので、特にオーダーメードの必要はありません。さまざまなスペクトラムのギターを持っているので、お客さんと対話し、望んでいる音と価格帯に合ったギターをお勧めしています。ほとんどの演奏家にも同じ方法を用いていますが、楽器を見ると大体満足してもらえます。
Q. オムギターの価格帯はどの程度でしょうか?
A. 100万ウォン(約9万5000円)から、1000万ウォンを超えるリミテッドエディションまでさまざまです。通常は300万ウォン台のギターを選ばれることが多いですが、価格だけでなく自分に合った音を出す楽器を選ぶのが重要です。
Q. 三代目ということでプレッシャーや悩みはありますか?
A. 祖父がギターを初めて作った時には完璧に再現する作業に集中しましたが、父は最高のギターを作りたがっていました。その夢を私が完成させなければならないという悩みはあります。
A. 国内ではペ・ジャンフムさんとそのような交流をしています。彼は私が試験的に作ったギターに対して、画期的で音が気に入ったのでその設計で進めてみろと励ましてくれました。今は故人になられたクラシックギタリストのソ・ジョンシル先生も、自分だけのギターの音を作るにあたってたくさんの助言をしてくださいました。
Q. オム・ホンシクさんのギターは演奏家だけでなく、ギターマニアにとっても大きなプレゼントであり、記念になりそうです。ギターを購入するにはどのような手続きが必要なのか教えてください。オーダーメードでしょうか?
A. 演奏家と音楽について理解した上でギターを製作しているので、特にオーダーメードの必要はありません。さまざまなスペクトラムのギターを持っているので、お客さんと対話し、望んでいる音と価格帯に合ったギターをお勧めしています。ほとんどの演奏家にも同じ方法を用いていますが、楽器を見ると大体満足してもらえます。
Q. オムギターの価格帯はどの程度でしょうか?
A. 100万ウォン(約9万5000円)から、1000万ウォンを超えるリミテッドエディションまでさまざまです。通常は300万ウォン台のギターを選ばれることが多いですが、価格だけでなく自分に合った音を出す楽器を選ぶのが重要です。
Q. 三代目ということでプレッシャーや悩みはありますか?
A. 祖父がギターを初めて作った時には完璧に再現する作業に集中しましたが、父は最高のギターを作りたがっていました。その夢を私が完成させなければならないという悩みはあります。

Q. 今後の計画を教えてください。
A. 新型コロナウイルスの状況がよくなれば、すぐに欧州に渡って活動しようと思っています。完成度の高いギターを作っても、宣伝する時間と方法がありませんでした。海外の演奏家は楽器に対する先入観がなく、よいものならブランドの名声に関係なく使いたいと連絡をくれます。このような演奏家たちと積極的に交流しようと思います。そして、将来はアカデミーを開いてギター製作を教えたいです。
問い合わせ オムギター
A. 新型コロナウイルスの状況がよくなれば、すぐに欧州に渡って活動しようと思っています。完成度の高いギターを作っても、宣伝する時間と方法がありませんでした。海外の演奏家は楽器に対する先入観がなく、よいものならブランドの名声に関係なく使いたいと連絡をくれます。このような演奏家たちと積極的に交流しようと思います。そして、将来はアカデミーを開いてギター製作を教えたいです。
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