ART & CULTURE

エドワード・ホッパー,〈鉄道の日没〉, 1929. キャンバスに油彩, 74.5 × 122.2 cm. Whitney Museum of American Art, New York; Josephine N. Hopper Bequest 70.1170. ©2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

エドワード・ホッパー、ソウルにやってくる!
米国の画家、エドワード・ホッパーの大規模な展覧会がソウル市立美術館で開かれている。乾いているが洗練された色彩、コミュニケーションを取りながらも孤独に見える人々。時代を超越する現代人の日常を描いたホッパーの作品を鑑賞できる今回の展覧会を見逃す手はない。
大型通販サイトの広告から米国のシットコムアニメーション、巨匠の映画、時代と歴史の変化を描いた映画まで。これほど幅広いジャンルで1人の画家の作品がオマージュされた例が他にあるだろうか。その名はエドワード・ホッパー。「米国が最も愛する画家」という称号を持つ写実主義の画家だ。ホッパーの13点の絵画をモチーフにシャーリーという人物の個人史を描き、「世界で最も特別で魅惑的なアニメーション」と賛辞を受けた映画「シャーリー リアリティーのビジョン」が作られるほど、彼は多くの芸術家とクリエーターに視覚的で創意的な影響を及ぼした。

ホイットニー美術館で開かれたエドワード・ホッパー展の作品から/エドワード・ホッパー,〈朝の日差し〉, 1952. キャンバスに油彩, 28 1/8 × 40 1/8 in. (71.4×101.9 cm). Columbus Museum of Art, Ohio: Museum Purchase, Howald Fund. © 2022 Heirs of Josephine N. Hopper/Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York / ホイットニー美術館提供

ホイットニー美術館で開かれたエドワード・ホッパー展の様子 / ホイットニー美術館提供

ニューヨークを愛する作家の展覧会
ニューヨークのホイットニー美術館では、昨年秋から今年3月初めまでエドワード・ホッパーの大型展覧会が開かれた。それは文字通り「大型」の展覧会だった。ホイットニー美術館は、エドワード・ホッパーの初期作をはじめとする約3000点の作品とホッパーの個人史に関する資料約4000点を管理するサンボーン・ホッパー・アーカイブ(Sanborn Hopper Archive)を保有する、最大の所蔵先だ。同時に、彼の生涯初の個展が開かれた場所でもある。同美術館がホイットニー・スタジオ・クラブと呼ばれていた頃、彼は画家として名を成すまで商業イラストを描いていた。仕事を受けると、ホッパーはニューヨークのレストランや事務所などを観察して絵を描いた。彼の絵は版画やポスターとして印刷され、通りに張られた。イラストのようなリアルな絵とカラフルな色彩、そしてどことなく寂しい都市の風景で埋め尽くされたホッパーの絵は当時から変わらない。

ホイットニー美術館で開かれたエドワード・ホッパー展の作品から/エドワード・ホッパー,〈ニューヨークの部屋〉, 1932. キャンバスに油彩, 29 × 36 in. (73.7 × 91.4 cm). Sheldon Museum of Art, University of Nebraska—Lincoln; Anna R. and Frank M. Hall Charitable Trust. ©2022 Heirs of Josephine N. Hopper/Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York / ホイットニー美術館提供

ホイットニー美術館で開かれたエドワード・ホッパー展の作品から/エドワード・ホッパー,〈日曜の早朝〉1930. キャンバスに油彩, 35 3/16 × 60 1/4 in. (89.4 × 153 cm). Whitney Museum of American Art, New York; purchase, with funds from Gertrude Vanderbilt Whitney 31.426 © 2022 Heirs of Josephine N. Hopper/Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York / ホイットニー美術館提供

先日終了した展覧会のタイトルは「エドワード・ホッパーのニューヨーク」。ホッパーが最も愛し、最もよく知るニューヨークという都市が抱く孤独と寂しさを描いた代表作をほぼ網羅したものだった。「版画の中の都市」「窓」「水平線の都市」「ワシントンスクエア」「劇場」「ニューヨークスケッチ」など七つのセクションに、絵に対する姿勢や対象物と背景を見つめる視線などを盛り込んだ。
ニューヨークで久々に開かれたホッパーの大型展覧会は、多くの関心と来場客を集めた。

《エドワード・ホッパー:道の上で》 展覧会全景, 写真ホン・チョルギ. ⓒ 2023, ソウル市立美術館

ニューヨークに続き、韓国にやってきたホッパー
米国人だけでなく韓国人にも愛される画家、エドワード・ホッパーの展覧会がソウルでも開かれている。4月20日から、ソウル市立美術館西小門本館でホッパーの作品を展示中だ。タイトルは「エドワード・ホッパー:道の上で Edward Hopper:From City to Coast」。2019年に同じ場所で開かれたデービッド・ホックニーの展覧会が大成功を収めた後、ソウル市立美術館は海外のさまざまな美術機関と協力して世界的な作家の作品を紹介する「海外所蔵品傑作展」を開催しており、エドワード・ホッパー展もその一環。共同企画を手掛けるのはもちろん、ホイットニー美術館だ。

《エドワード・ホッパー:道の上で》 会場全景, 写真ホン・チョルギ. ⓒ 2023, ソウル市立美術館 

《エドワード・ホッパー:道の上で》 会場全景, 写真ホン・チョルギ. ⓒ 2023, ソウル市立美術館 

《エドワード・ホッパー:道の上で》 会場全景, 写真ホン・チョルギ. ⓒ 2023, ソウル市立美術館 

エドワード・ホッパーの画家人生において重要な絵画やドローイング、版画など約160点の作品、そして家族や幼少時のゆかりの品、本、関連記事などを保管するサンボーン・ホッパー・アーカイブの所蔵資料約110点など、約270点の作品と資料が一堂に会している。
最も米国的な画家とされるホッパーだが、今回の展覧会はパリやニューヨーク、ニューイングランド、ケープコッドなど作品が描かれた人生の軌跡に沿って構成されている。おかげで代表作の「自画像」や「鉄道の日没」「朝の日差し」など米国的な日常と風景を描いた主要作品のほか、フランスで描かれた「蒼い宵」などの作品も見ることができる。

エドワード・ホッパー,〈午前7時〉, 1948. キャンバスに油彩, 76.7 × 101.9 cm. Whitney Museum of American Art, New York; purchase and exchange 50.8. © 2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

エドワード・ホッパー,〈コブスの納屋と遠くの家々〉, 1930–33. キャンバスに油彩, 74 × 109.5 cm. Whitney Museum of American Art, New York; Josephine N. Hopper Bequest 70.1206. © 2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

エドワード・ホッパー,〈蒼い宵〉, 1914. キャンバスに油彩, 91.8 × 182.7 cm. Whitney Museum of American Art, New York; Josephine N. Hopper Bequest 70.1208. © 2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

彼が愛される理由
自身の絵のように、どこか寂しい作家人生を送っていそうなエドワード・ホッパーは、意外にも早くから成功し、順調な人生を歩んだ画家だ。当時、欧州に憧れた米国の芸術家たちとは異なり、米国的な風景と日常を描いた彼の絵を本国の美術館が見逃すはずがなかった。ホイットニー美術館やメトロポリタン博物館が作品を買い入れ、比較的若い50代の時にニューヨーク現代美術館(MoMA)で回顧展が開かれたりもした。

エドワード・ホッパー,〈二階の日差し〉, 1960. キャンバスに油彩, 102.1 × 127.3 cm. Whitney Museum of American Art, New York; purchase with funds from the Friends of the Whitney Museum of American Art 60.54. © 2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

エドワード・ホッパー,〈ニューヨークの室内〉, 1921年ごろ. キャンバスに油彩, 61.8 × 74.6 cm. Whitney Museum of American Art, New York; Josephine N. Hopper Bequest 70.1200. © 2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

エドワード・ホッパー,〈夜の窓〉, 1928. キャンバスに油彩, 73.7 × 86.4 cm. Museum of Modern Art (MoMA), New York, USA. Gift of John Hay Whitney. 248.1940. Digital image © 2023, The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence

エドワード・ホッパーは、韓国でも熱烈に愛されている作家だ。乾いているが洗練された色彩、コミュニケーションを取りながらも孤独に見える人々。作品から感じられるこのような両面性が、彼がさらに人気を集める理由だ。
また、これまで韓国で開かれた大型展覧会が主に印象派の画家や1900年代初めに活動した欧州の作家、あるいは1970年代以降に大きな人気を集めた現代美術家の展示だったのとは異なり、今回の展覧会は1940年代前後に活躍した米国人作家の大型展覧会という点でさらに注目に値する。

エドワード・ホッパー,〈自画像〉, 1925–30. キャンバスに油彩, 64.5 x 51.8 cm. Whitney Museum of American Art, New York; Josephine N. Hopper Bequest 70.1165. © 2023 Heirs of Josephine Hopper/Licensed by SACK, Seoul

エドワード・ホッパーの展示を通じて、われわれは不景気と好景気を生き延びた米国人たちのリアルな風景に出会うことになる。「一緒にいても寂しい」という現代人の感性を、80年前に活動していた遠い異国の画家の絵に見い出すことができるのだ。

場所 ソウル市中区徳寿宮ギル61 ソウル市立美術館
開催期間 2023.04.20~2023.08.20
ホームページ  ソウル市立美術館

ソウルでの滞在:ロッテホテルソウル
乙支路入口の小公洞に立つロッテホテルソウルは、韓国最高の呼び声が高いラグジュアリービジネスホテルだ。1,015室の客室はインテリア会社4社による独創的な設計で、最新トレンドも取り込んでいる。明洞や乙支路、清渓川などソウル中心部の観光スポットへのアクセスが抜群で、ビジネスと観光のどちらにもうってつけ。家族の集まりやラグジュアリーウエディング、大規模な国際会議の会場に使われるのはもちろんのこと、海外からの国賓や上得意客をもてなすにも最適な場所として知られる。

住所 ソウル市中区乙支路30
電話 +82-2-771-1000
ムペ www.lottehotel.com/seoul-hotel
May 2023 編集:鄭宰旭
資料提供: ソウル市立美術館

Where to stay?

LOTTE HOTELS & RESORTS
  • 트위터로 공유
  • 페이스북으로 공유
  • 핀터레스트로 공유
  • 링크URL 공유
top