FOOD & STYLE

ビアガーデンのロマン
涼しい風が耳元でそよぐ9月は、屋外で一杯飲むにはうってつけの季節だ。この時期に「路上ビール(ビアガーデン)」を楽しめるソウルと釜山の話題のスポット2カ所を紹介する。

1SEOUL

韓国のオクトーバーフェスト、乙支路のノガリ横丁
ソウルには老舗が多い。特に観光地として知られるエリアの周辺には、長い歳月を経た店が宝石のようにあちこちに隠れている。近ごろソウルで最も熱い関心を集めているのは、鍾路でも明洞でも、江南でもない、乙支路3街のノガリ(スケトウダラの幼魚の干物)横丁だ。

華やかにきらめくソウルの夜の街、乙支路3街は早くから庶民が集まってきた場所だった。乙支路ノガリ横丁の歴史は1980年代にさかのぼる。配達、看板、陶器、電気、印刷といったさまざまな業種の工場と商店がひしめく中、奥まった路地の間に、近くの勤め人や地元の人向けの飲み屋が一つ二つと増えていった。

初めてこの路地に店を構えたのは「乙支路OBベアー」だった。1980年12月、乙支路OBベアーの現社長の父親であるカン・ヒョグンさんが店を出して以来、親子2代、約40年にわたり乙支路ノガリ横丁を守り続けている。2018年5月には政府から、独自の事業を長期継承・発展させている「百年店」に指定されもした。その横を「ミュンヘンHOF」「満船HOF」などの新たな店が埋めていった。今、最も有名な店は満船HOFだ。店舗数は7店と最多で、夜ごと数百、数千人の客でごった返す。中年男性の天国だった乙支路ノガリ横丁は、今や20代の若者のほうが多く足を運ぶようになった。一番トレンディーという意味で、「ヒップチロ(英語の「HIP」に乙支路の「支路」を組み合わせた造語)」と呼ばれている。

乙支路ノガリ横丁は、「乙支路3街駅」(ソウル地下鉄2号線/3号線)の3番出口と4番出口付近にある。初めて訪れた人は2度、とまどうことになる。商店が並ぶどう見ても平凡な通りに、どこが入り口なのかといぶかしみ、続いて路地に足を踏み入れた瞬間、客と簡易テーブルが路地を埋め尽くす圧倒的な光景にあぜんとしてしまう。

乙支路ノガリ横丁は日暮れに簡易テーブルを置くことで本格的に店開きとなる。近所の小さな工場と商店が閉まるシャッター音を合図に、青と赤色のプラスチックテーブルが一斉に路地に敷き詰められる。

乙支路ノガリ横丁の最大の目玉は当然、路上で飲む生ビールだ。店は午後0~1時に開くが、路地が本格的に盛り上がり、簡易テーブルが置かれ始めるのは午後6時半から。製造業の工場と商店がその日の仕事を終えてシャッターを下ろす音を合図に、青と赤色のプラスチックテーブルが一斉に路地に敷き詰められる。早めに来た客は、近ごろ最も人気のある満船ホップのルーフトップに上がり、開放的な気分を満喫する。7時半にはノガリ横丁内はすでに人だかりができていて、空席が見つからない。それでも人々は楽しみ、それぞれ写真を撮るのに忙しい。

客が増えても、ここらの店はいまだにノガリやファンテ(乾燥と凍結を繰り返したスケトウダラ)を1枚1000ウォン(約88円)で出している。常連客に配慮する店主の殊勝な心意気だ。一番人気のメニューは乙支路コルベンイ(ツブ貝の甘辛あえ)とトンダク(鶏の丸焼き)。乙支路コルベンイが普通のコルベンイあえと異なるのは、ネギの千切りと、水にもどして裂いたファンテが入っていること。もう2000ウォン出せばそうめんを追加できる。白くゆで上がったそうめんに真っ赤な合わせ調味料をよく絡め、コルベンイ、ネギ、ファンテと一緒に口いっぱいに頬張る。ツンとしたネギの香りと歯ごたえのあるコルベンイ、ファンテ、あっさりしたそうめんが甘辛い味付けといいバランスで、口の中で爆竹が弾けるようにさまざまな味わいを醸す。ここに生ビールを一杯ぐいっと流し込めば、一日の疲れが一瞬で吹き飛ぶ。

住所 ソウル市中区忠武路9ギル12の一帯
営業時間 12:00~24:00 (店ごとに異なることもあり)
 

ロッテシティホテル明洞

乙支路での滞在先: ロッテホテルソウル
ロッテホテルソウルはソウル・漢江以北の要衝、中区小公洞に位置する韓国最高のラグジュアリーホテルだ。ソウル駅に近く、空港だけでなく韓国のどこに移動するにも便利だ。ホテルの周りには乙支路、明洞、清渓川などさまざまな観光スポットと見どころが集まっている。ホテル内にはビジネスだけでなく観光客向けに、多彩で独創的なインテリアの客室1015室が準備されている。また、ミシュラン3つ星レストランの「ピエール・ガニェール・ソウル」をはじめ、世界中の料理約200メニューを味わえるビュッフェレストラン「ラ・セーヌ」などが、うっとりするような美食の世界に招待する。

住所 ソウル市中区乙支路30
電話 +82-2-771-1000
ホームページ ロッテホテルソウル 
乙支路での滞在先: ロッテシティホテル明洞
ロッテシティホテル明洞は27階建てに430室の客室を備えた高級ビジネスホテルだ。ショッピングの中心地の明洞とソウルの象徴である清渓川の間に位置し、アクセスが良い。東大門歴史文化公園、新村、南山などに隣接し、ショッピングと観光には抜群の立地。スーペリアスイートルーム、デラックスファミリーツインルームなど5タイプの客室は、モダンで高級なインテリアと、ロッテホテルの高級寝具ブランド「he:on」で設えられており、心ゆくまで快適なくつろぎの時間を過ごせる。

住所 ソウル市中区三一大路362
電話 +82-2-6112-1000
ホームページ  ロッテシティホテル明洞  

2BUSAN

若さと解放を象徴する通り、西面の屋台通り
釜山といえば思い浮かぶのが海雲台、広安里の海辺で、観光客も大勢訪れる。だが、昔から釜山の中心地は西面だ。初めてここを訪れる人は首をひねる。行政区域として「西面」は存在しないため。ここは日本による植民地時代の東莱郡西面という地名に由来し、実際には釜山鎮区釜田洞、田浦洞あたりを指す。西面はファッションの街としても名高い。「西面若さの通り」や「サムジョンタワー(旧フィエスタ)複合ショッピングモール」など、数多くの商店とファッションモールがここに集まっている。

西面は2つの顔をあわせ持つ。昼間、「釜山の明洞」と呼ばれるようにファッションの聖地として華やかな姿を見せるとすれば、夕方には酒とロマンのある通りに変身する。何といっても西面には、日が暮れると「ポジャンマチャ(屋台)」の明かりが揺れる「ポチャ通り(屋台通り)」がある。ポチャ通りの誕生は約10年前。それ以前からロッテ百貨店裏口前の通りに陣取っていたポジャンマチャ約60台が整理され、2009年に今の規格化されたポチャ通りに変わった。長い間使われて古びたポジャンマチャは、ステンレス材質の朱色と赤色が混じった今のデザインに一新された。

釜山の人たちにとってロッテジャイアンツが一つの象徴であるように、西面でロッテ百貨店釜山本店とロッテホテル釜山は商業の中心地で、第一のランドマークだ。西面の中心地はロッテ百貨店に始まり、西面ポチャ通りもすぐそばにある。ロッテ百貨店一帯に並ぶ数十台のポジャンマチャは、ひときわ目立つ独特な見どころとなっている。

西面ポチャ通りは味もサービスも千差万別だが、多くの客でにぎわうという点では基本的にどこも同じ。ポジャンマチャの上部に掲げられた看板を眺めるのもまた楽しい。「ホワイトハウス」「景福宮」のような世界的な名所から、「黄金の夕暮れ」「9回裏ツーアウト」といった個性あふれる看板まである。店にはこの通りと同じほど時間を経たかのような、年季が入って色あせた木のいすが冷蔵ケースの前にきちんと並んでいる。
釜山の西面ポチャ通りで席に着くと、お通しとしてみそだれを添えたキュウリが出される。 店によっては目玉焼きやソーセージソテーを出したりもする。

お通しとしてみそだれを添えたキュウリを出す店がほとんどだが、店によっては目玉焼きやソーセージソテーを出したり、果物を用意したりするところもある。酒の肴はトッポギ(餅の甘辛炒め)、スンデ(豚の腸詰め)、揚げ物といった夜食の基本メニューから、オドルピョ(豚の軟骨炒め)、タッパル(鶏の足の激辛炒め)、ヌタウナギ、ハイガイまで、さまざまなメニューがそろっている。カクテル専門のポジャンマチャまであるくらいだ。地元の人と外国人が仲良くカクテルを飲む姿も珍しくない。見かけも考え方もそれぞれ違っていても誰もが一杯の酒に自由と解放感を満喫できる場所、それがここ西面ポチャ通りなのだ。

住所 釜山市釜山鎮区伽耶大路772 ロッテホテル釜山の一帯
営業時間 17:00~05:00
西面での滞在先: ロッテホテル釜山
ロッテホテル釜山は、釜山中心地の西面に位置する5つ星ホテルだ。客室650室を備え、釜山でも最大規模を誇る。釜山駅から車で約15分、公共交通機関を利用すれば20~25分の距離にあり、アクセスは抜群。客室からは国際的な美港である釜山港の全景を鑑賞でき、最高級の寝具ブランド、he:onでくつろぎのひと時を過ごせる。韓国各地の旬の特産物を使う韓国料理レストラン「無窮花」や最上階の43階にある日本料理店「桃山」などでは、釜山最高のグルメを味わえる。2016年9月に新装オープンしたセブンラックカジノもある。

住所 釜山市釜山鎮区伽耶大路772
電話 +82-51-810-1000
ホームページ ロッテホテル釜山 

ロッテホテル釜山

September 2019 編集:河在暻
文:李時雨
写真:Guido(釜山)、朴誠永(ソウル)

Where to stay?

LOTTE HOTELS & RESORTS
  • September 2019
  • 編集: 河在暻
    文: 李時雨
  • 写真: Guido(釜山)、朴誠永(ソウル)
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