FOOD & STYLE

© shutterstock

朝露を含んだ神秘のお茶、ハノイのハス茶
「最初の一杯から物語が始まる」 - ベトナムのことわざ
ベトナム人たちのお茶に対する愛情は格別だ。結婚式をはじめとする冠婚葬祭や名節はもちろんのこと、人々が集まる場所にはいつもお茶がある。一杯の温かいお茶は会話の自然なきっかけになり、交わす茶碗に情が通い、固い絆が生まれる。
ベトナムは世界的にお茶の栽培と消費が盛んな国の一つに数えられ、お茶づくりの歴史も2000年を超えることで知られている。タイグエン(Thai Nguyen)地域の緑茶(TraXanh)、ハザン(Ha Giang)地域のシャントゥエット(Shan Tuyet)茶、フエ(Hue)地域のフエ宮廷茶(TraCungDinh Hue)、バオロク(Boa Loc)のウーロン茶など、各地域を代表する特産品であるお茶がベトナム国民に愛されてきた。最近では、世界の茶愛好家から注目を浴びている。
ベトナムの首都で1000年の歴史を持つ伝統都市のハノイには、ベトナム茶の品格をいっそう引き立てるとても特別なお茶がある。手間ひまをかけ、手作業で作られる芸術的なセンテッド・ティー(Scented Tea)、ハス茶だ。
하노이연꽃차

ハスの花をモチーフにした茶器セット ⓒ 田慧仁

하노이연꽃차

ベトナムには多様な茶文化がある。 ⓒ 田慧仁

昔からハスの花は国と宗教を超えて神聖さの象徴と考えられてきた。仏教では仏陀(ぶっだ)の誕生を知らせる花であり、インドでは八百万(やおよろず)の神にハスの花をささげ、古代中国ではハスの花を俗世に染まらない君子の花と表現し、ヨガや禅をたしなむ人々にとってもハスの花は常に身近な存在だった。泥水の中でも汚れのない美しい花を咲かせるハスの花からは、高潔さが感じられるためだ。
연꽃

ハノイ、西湖に咲いた満開のハスの花

花をとりわけ好み、日常にいつも花を取り入れるベトナム人があらゆる花の中で最高と考えるものこそがハスの花だ。ハスの花はベトナムの国花で、ベトナム人はハスの花が持つ特性がベトナムという国の哲学とつながっていると話す。
ハノイ最大の湖、西湖地域のハスの花は、約100枚の見事なピンクの花びらと神秘的な香りで有名だ。ハスのシーズンである夏の西湖は、満開のハスの花とその花を見に集まる人々でにぎわう。
ベトナム人は、ハスの根から茎、種、花びら、花粉まで捨てずに食用や薬用として利用する。複雑な工程を経て作られることで有名なハス茶は、昔から地位の高い官職や上流階級が楽しみ、自然と首都ハノイを代表する高級茶として定着した。
하노이연꽃

하노이연꽃

ハスの花は早朝に採取する。

池に咲いたハスの花が一杯のお茶になるまで
ハス茶を作る長い工程は、ハスの花を採取することから始まる。ハスの花を集めるのに最も適した時間は、太陽が昇る前の朝5時ごろだ。ハスの花が開ききらず、朝露を含んだ状態のこの時、ハスの花が最も強い香りを放つからだ。花を摘んだ後には、おしべをすぐに取り除かなければならない。香りを失わないためには、素早い手さばきが重要だ。分離したおしべを、特別に選んで空輸した良質の緑茶の葉とよく混ぜる。これは茶葉にハスの花の香りをまとわせる過程だ。おしべと混ぜた茶葉を濡らして乾かすプロセスを7回繰り返すことで、緑茶の葉がほのかな香りを帯びたハス茶に生まれ変わる。香りがしみ込んだ茶葉は、再びハスの花の中に入れ、花びらで包んで保管する。そうすれば花びらの香りがほのかにする、香りの層が厚いハス茶が完成する。
1キロのハス茶を作るためには、ハスの花1400輪が必要だ。花の採取からお茶になるまでの全ての過程が繊細で手がかかるため、昔は上流階級だけが飲めるとても貴重な茶だったという。今も一般のお茶に比べると高価だが、老若男女を問わず多くの人に愛されており、ハノイを代表する誇るべき無形文化の一つに挙げられる。
연꽃차만들기

ハス茶の製造工程 ⓒ ヒエンミンティーハウス

연꽃차만들기

연꽃차만들기

ハスの花からおしべを取り除く工程が重要だ。

匠の哲学と苦労が込められた高級ハス茶「ヒエンミンティーハウス」
騒がしいハノイ市内の真ん中、四方に伸びる通りの間の細い小道の小さな店に灯りがともっている。ほのかな照明を頼りに中に入ると、外の喧騒とは対照的に静かな茶室が広がる。
「ここでは都市生活の忙しさを忘れ、温かいお茶とともに安らぎを得てもらえればと願っています」。ヒエンミンティーハウス(Hien Minh Tea House)を運営するフン(Hung)・イェン(Yen)夫妻が、深みのある温和な微笑を浮かべて客を迎える。夫妻がかもしだす落ち着いた温かい雰囲気は、まるでヒーラー(Healer)を連想させる。
ヒエンミンティーハウスは2016年、ベトナム・ティーマスターカップ(Tea Master Cup)で優勝したグエン・ビエット・フン(Nguyen Viet Hung)とハイ・イェン(Hai Yen)がベトナム伝統茶を守り、広く伝えようという情熱で作った空間だ。資本や経営の知識もなく、ただ茶に対する情熱だけで始めた若い夫婦の店は、数年でハノイを代表する高級茶文化空間に成長した。この夫婦を表現する言葉は無数にある。茶を通じて哲学と思想を伝えるティーアーティストであり、茶を利用して瞑想する修行者であり、自ら茶を収穫し、作り出す茶農家であり、高品質な茶を作る匠だ。
히엔민티하우스

ヒエンミンティーハウスを切り盛りするフン・イェン夫妻 ⓒ 田慧仁

「お茶はただの飲み物ではありません。全身の感覚で『感じる』ものです」
- ホン・イェン夫妻
ヒエンミンティーハウスのシグネチャーティーは他でもない、ハス茶だ。「数十種類の茶を扱い、研究するティーアーティストですが、私たちにとってハス茶は特別な意味があります。私たちが茶の世界に入門した時、最初に取り扱った茶器のせいです。ハス茶は私たちの始まりであり、永遠の先生です」。茶人としての最初の茶にハス茶を選ぶほど関心を持った理由を尋ねると、フンはこう答えた。「運命です」。夫妻は現在ハノイに所有する池でオーガニックのハスの花を栽培し、他の追随を許さない高品質のハス茶を作っている。
연꽃차만들기

ⓒ 田慧仁

연꽃차만들기

ⓒ 田慧仁

연꽃차만들기

ⓒ 田慧仁

연꽃차만들기

ハス茶の抽出過程 ⓒ 田慧仁

ヒエンミンティーハウス(Hien Minh Tea House)のハス茶の飲み方
1. 茶の匠がシンギングボール(金属の器の縁を叩いたりこすったりして音を出すヒーリンググッズ)を鳴らすと目を閉じて振動を感じ、体の感覚を呼び覚ます。
2. 茶器を温めた後、乾燥した茶葉を水なしで加熱し、茶葉の中に眠っている香りを起こす。
3. 熱湯を茶器に注ぎ、80度になるまで冷ます。お茶を飲む最適の温度だ。
4. お湯が適切な温度になれば、茶葉に注いで約30~60秒蒸らす。長く蒸らすほど味が強く、濃いお茶が完成する。
5. 一口飲んだ後、口の中に含んで香りを吟味し、ゆっくりと飲み込む。
6. 抽出するたびに味が深くなる。​​​​​
ハス茶はそこはかとない魅力を持っている。かすかなハスの香りは、高級感のある緑茶の香りとよく調和する。茶の味は渋いが、飲み込んだ後に甘味が残る。茶を飲み込むと、口の中には爽快感が広がり、体は熱気に満ちる。茶が放つパワーで体が開き、最終的には心も開く。
「お茶を淹れる時、私たちはお茶から立ちのぼる香りをかぎます。お茶を飲むと、その香りが体の中に入ってくるのです。お茶を飲むことで私たちは内面をより深くのぞき見ることができます。これは内面と精神世界を強調するヨガの修行、仏教哲学とも通じる点です」
히엔민티하우스

お茶の香りを吟味するイェンとフン ⓒ 田慧仁

히엔민티하우스

ⓒ 田慧仁

히엔민티하우스

ヒエンミンティーハウスの姿 ⓒ 田慧仁

「お茶を淹れる時、私たちはお茶から立ちのぼる香りをかぎます。お茶を飲むと、その香りが体の中に入ってくるのです。これは内面と精神世界を強調するヨガの修行、仏教哲学とも通じる点です」
ヒエンミンティーハウスのビジョンは、高品質なベトナム茶を世界に紹介することだ。夫妻は茶に対する堅固な哲学と信念、そしてあふれる愛で、各国から訪れる茶愛好家にベトナムの伝統が濃く表れた茶を出している。ハスのシーズンである夏には、自分でハス茶を作れる体験型のレッスンも行っている。
Hien Minh Tea House
住所 No. 13 Ngo Tat To, Van Mieu, Dong Da, Hanoi
電話番号 +84-93-625-1122
ホームページ hienminhtea.com
롯데호텔하노이

롯데호텔하노이

ハノイでの滞在:ロッテホテルハノイ
ハノイのランドマークとなった65階建てのロッテセンターハノイの上層階にあるロッテホテルハノイは、都市全体が見渡せる優れた眺望とベトナム伝統文様を用いた客室デザインが印象的だ。ハノイのスカイラインを一望できるルーフトップバー「トップオブハノイ」や、自然の中にいるように体と心がリラックスできる「エビアンスパ」などの施設が旅行者の間で人気を集めている。

住所 54 Lieu Giai, St. Cong Vi Ward. Ba Dinh, Hanoi
電話 +84-24-3333-1000
ホームぺージ www.lottehotel.com
December 2020 編集:鄭宰旭
文:田慧仁

Where to stay?

LOTTE HOTELS & RESORTS
  • December 2020
  • 編集: 鄭宰旭
    文: 田慧仁
  • 트위터로 공유
  • 페이스북으로 공유
  • 핀터레스트로 공유
  • 링크URL 공유
top