FOOD & STYLE

© モモスコーヒー

釜山のコーヒーロード
近ごろコーヒーが評判の街といえば? 答えは釜山だ。韓国人で初のワールド・バリスタ・チャンピオンに輝いたバリスタのチョン・ジュヨンが所属するモモスコーヒーをはじめ、個性豊かなカフェが集まっている。コーヒーをキーワードに釜山を旅してはいかがだろう。「18歳のバリスタ、物語をロースティングする」「実用コーヒー書籍」(いずれも原題)を著したコーヒーコラムニストの趙源鎮(チョ・ウォンジン)が案内役を務める。
プラットホームに下り立った瞬間、塩気を含んだ風が鼻先をかすめる。階段を上って待合室に向かう目の前に、星の光を抱いた影島の夜景が広がる。釜山駅を背にして右手に影島とチャガルチ市場、国際市場があり、左手には田浦洞のカフェ通りと広安里、海雲台が位置する。見どころとグルメにあふれる釜山は、旅行を楽しむ文化と交通の発展を背景に韓国屈指の観光都市となった。
観光の街へと変貌を遂げた釜山は、同時にコーヒーの街としても成長した。押し寄せる観光客の関心を集める手段としてカフェが注目されたのだ。潜在力と可能性は十分だった。草梁と影島、田浦洞の路地には昔ながらのたたずまいを残す建物が立ち並んでいた。そこは意外性と多様性に満ち歳月の痕跡をとどめる空間であり、こうした通りにできたカフェは瞬く間に、目新しさを求める観光客を引き付ける名所になった。釜山駅前に1920年代に病院として建てられた建物を活用した「ブラウンハンズ」、1940年代の日本風家屋を現代風に改良した「カフェ草梁1941」、1950年代のコメ倉庫を改造した「ノーティス」などがその代表例に挙げられる。
 

モモスコーヒーのバリスタがコーヒーをいれている。 © モモスコーヒー

モダンなインテリアのモモスコーヒー新世界センタムシティモール店 © モモスコーヒー

店の独特なムードが注目を集めるベルクロースターズ © 趙源鎮

釜山港を通じて多様な文物を積極的に取り入れてきた歴史があり、新しい文化にいち早く適応できたこと、コーヒーを最も積極的に消費する20~30代の人口が他の都市に比べて多いことも、釜山のコーヒー文化の発展に一役買った。かつて金物店と工具店しかなかった田浦洞の通りが、釜山特有の開放的な文化とカフェへの関心が高い世代のたゆみない消費によってカフェ通りに変身したのだ。2019年には最高のバリスタを選ぶワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)で、モモスコーヒーのバリスタ、チョン・ジュヨン氏が韓国人として初めて優勝トロフィーを手にした。優勝者は米コーヒー専門誌「バリスタマガジン」の表紙を飾るのだが、広安里の海をバックにトロフィーを抱えるチョン・ジュヨン氏の姿は、釜山を世界的なコーヒーの街に生まれ変わらせるきっかけをつくった。
釜山は今やコーヒーの街といっても過言ではない。釜山グルメのミルミョン(小麦粉の冷麺)とテジ(豚)クッパを食べなくても、広安里と海雲台を訪ねなくても、カフェ巡りだけで釜山を存分に楽しめるからだ。まだ釜山のカフェをちゃんと楽しんだことがないなら、これから紹介する釜山の主なカフェと個性豊かな個人経営のカフェにまず足を運んでみてほしい。
 
韓国のみならず世界にその名を知らしめたカフェ、モモスコーヒー

モモスコーヒー本店 © モモスコーヒー

ロースティングルーム © モモスコーヒー

韓国式伝統家屋の魅力を生かしたモモスコーヒー本店 © モモスコーヒー

2007年にイ・ヒョンギ代表が、両親が運営していた飲食店の倉庫を利用してテークアウト専門店としてオープンし、拡張を重ねてついには2階建ての飲食店全体をカフェにつくりかえた。2009年からスペシャルティコーヒーの取り扱いを本格化し、現在は釜山を代表するカフェとして定着している。2019年には、創業メンバーとして15年をともにしてきたバリスタのチョン・ジュヨン氏がモモスコーヒーからワールド・バリスタ・チャンピオンに出場し、韓国人初の優勝をつかんだ。店を代表するメニューはスペシャルティコーヒー豆を使ったハンドドリップコーヒー。これらの豆は、1年の半分以上を海外の産地で過ごすイ代表が選りすぐり、空輸している。
住所 釜山市金井区オシゲ路20
インスタグラム www.instagram.com/momos_coffee
 
田浦洞の古顔ロースタリー、FMコーヒー

© FMコーヒー

FMコーヒーの店内 © FMコーヒー

FMコーヒーの店内 © FMコーヒー

コーヒーにぴったりのデザートもある。 © 趙源鎮

2000年代初めから釜山一帯にコーヒーを納品し続け名前を知られるようになったロースター(焙煎士)のカン・ムソン氏が、2008年に田浦洞にオープンしたカフェ。「Field Manual(定石)」という名称の通り、とびきりの味で愛好家をとりこにした。毎年コスタリカやパナマなど海外の産地に赴き、自分の目でコーヒー豆を買い付けてくる。季節ごとに最上のコンディションで提供するシーズナルのスペシャルティコーヒーのほか、深く煎って濃いチョコレートのような甘みを引き出したダークブレンドによるラテとアメリカーノも魅力的。水出しのコールドブリューをベースにした「トゥモロー」と抹茶ラテを応用した「田浦の森」は、カフェを訪れる人たちが決まって一度は注文する人気メニューだ。
住所 釜山市釜山鎮区田浦大路199番ギル26
インスタグラム www.instagram.com/fmcoffee__
 
人気急上昇中のカフェ、ベルクロースターズ

© ベルクロースターズ

注文したコーヒーを飲める2階 © ベルクロースターズ

ベルクチーム © ベルクロースターズ

釜山出身の若きバリスタと焙煎士の4人がタッグを組んだ。韓国代表バリスタ選抜の審査委員も務めた焙煎士のパク・ヒョンドン氏とブレンドを担当するバリスタのソン・チャンヒ氏が、モモスコーヒーで働いていた縁で創業の基盤を築き、その後、財務と経営を担当するバリスタのキム・ソクポン氏とインテリア・施工管理担当のバリスタのイ・サンヨンが合流。「前向きな人生の変化」をモットーにベルクチームを立ち上げると、2018年5月に田浦洞の住宅街に店をオープンした。一般的なカフェとは異なり、1階に事務所と焙煎室を置き、地下で注文を受け付けてコーヒーを準備する。コーヒーは2階で飲むことができる。ベルクチームが全国から集めた椅子や趣のある間接照明が独特な雰囲気を醸す。看板メニューは、シグネチャーブレンドのベイビーを使った「ベイビーラテ」と、シーズンごとに変わるシングルオリジンブリューイングコーヒー。
住所 釜山市釜山鎮区西田路58番ギル115
インスタグラム www.instagram.com/werk.roasters
 
小さくも個性際立つカフェ、コーヒーアウェイク

© コーヒーアウェイク

2012年5月に焙煎士でバリスタのキム・ジヨン代表が釜山大学前にオープンしたカフェ。コーヒーはただ苦いだけの飲み物という偏見を打ち破ろうと、厳選した良質の豆から抽出したコーヒーを提供している。草創期はさまざまなスペシャルティコーヒー店から豆を仕入れて販売するセレクトショップの形を取っていたが、来店者の増加を受け、焙煎室を設けて豆の焙煎を始めた。2種類のブレンドと週替わりのシングルオリジンコーヒーでエスプレッソドリンクを楽しむことができる。幅広い種類のブリューイングコーヒーと豆をそろえている。
住所 釜山市金井区釜山大学路63番ギル46-4
インスタグラム www.instagram.com/coffeeawake
 
スペシャルティロースタリーのセレクトショップ、コーヒースペースバー

CSBラウンジ © コーヒースペースバー

店名の通りキーボードのスペースバーを思わせる建物に入っているカフェ。釜山エリアのカフェで長年バリスタとロースターとして力を培ってきたキム・テワン代表が2017年にオープンした。「人&BEAN」「ベルクロースターズ」「ヒュッテロースタリー」といった釜山を代表するスペシャルティロースタリーコーヒーを紹介する一種のセレクトショップだ。2020年5月には南川洞にフラッグシップ店の「CSB(Coffee Space Bar)ラウンジ」を開いた。本店よりも広く快適な空間を提供し、地下では地元のアーティストとコラボした展示会を定期的に催している。コーヒースペースバーはとろりとして柔らかな味わいが一品のホットチョコ、CSBラウンジはお茶とフルーツドリンクをカクテルのように組み合わせたミクソロジーティーがシグネチャーメニュー。
住所 釜山市南区荒嶺大路74番ギル95
インスタグラム www.instagram.com/coffee_space_bar
 
宝石のごとき一杯のコーヒー、トレジャーズコーヒー

© 趙源鎮

© 趙源鎮

そうそうお目にかかれないような品種、原産地、加工方法のさまざまなスペシャルティコーヒーをこつこつと紹介してきた。それこそ宝石のようなコーヒーを心ゆくまで堪能できる場所だ。ブティックコーヒーは常に7~8種のラインアップを保っている。2016年に水営区に開店して1年半で営業を終了し、2019年に田浦洞に移転オープンした。良質のコーヒーを合理的な価格で提供することから、開業早々にこの一帯のコーヒー好きの心をつかんだ。店内は常に大勢の客でにぎわう。コーヒー1杯では終わらない客も多い。 
住所 釜山市釜山鎮区田浦大路216番ギル28
インスタグラム www.instagram.com/treasurescoffee
 
北欧スタイルのコーヒー、ヒュッテロースタリー

ヒュッテロースタリーの焙煎士チョン・ヒョジェ氏とバリスタのチェ・ヒユン氏 © 趙源鎮

© 趙源鎮

© 趙源鎮

© 趙源鎮

焙煎士のチョン・ヒョジェ氏がバリスタである同い年の妻のチェ・ヒユン氏と営む焙煎専門店。2013年に釜山近郊の梁山で開業したが、より多くの経験を積もうと店をたたんでオーストラリアや北ヨーロッパなどへコーヒー修行に旅立った。そして2018年、北欧のスペシャルティカフェを中心に広まっていた「ノルディックロースト」にインスピレーションを得たロースタリーカフェを南川洞にオープンした。豆が薄く色づく程度の浅煎りのノルディックローストは深煎り豆より酸味が強く、明るくビビッドな花の香り、フルーティーな香りを感じられるという特長がある。ヒュッテの「ストップオーバー」はノルディックローストスタイルが際立つブレンドで、柔らかな酸味とフローラルな香りが魅力的だ。2019年10月にカフェの営業を中止して焙煎に専念しており、ソウルや済州、京畿、江原など各地でヒュッテのコーヒーに出会えるほどに高い認知度を持つ。釜山では機張の「コングクサンドコーヒー」、田浦洞の「アライクコーヒー」「ノーベーカーノーベーカーズ」などでヒュッテロースタリーのコーヒーを味わうことができる。
インスタグラム www.instagram.com/hytte_roastery
 
釜山での滞在: ロッテホテル釜山とシグニエル釜山
田浦洞のカフェ通りから徒歩で約15分の距離にあるロッテホテル釜山は650室の客室からなり、旅行の目的に応じた部屋選びができる。釜山の全景を鑑賞できるモダンなデザインの部屋から、釜山出身のプロ野球選手・秋信守(チュ・シンス)をテーマにデザインした秋信守スタールームまで、さまざまなタイプを取りそろえている。

ロッテホテル釜山の秋信守スタールーム

シグニエル釜山のシグニエルプレミアルーム

シグニエル釜山

シグニエル釜山はシグニエルソウルに続く、ロッテのプレミアムブランド「シグニエル」の2番目のホテルだ。海雲台のランドマークであるエルシティ(LCT)タワーにあり、260室の客室を有する。広安大橋を望む海雲台の幻想的なオーシャンビューが自慢。シグニエル釜山では世界レベルのグルメも味わうことができる。ミシュラン三つ星シェフのブルーノ・メナール(Bruno Menar)が監修した多彩なメニューが目を引く。
ホームページ ロッテホテル釜山シグニエル釜山
February 2021 編集:金慧元
文:趙源鎭

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  • February 2021
  • 編集: 金慧元
    文: 趙源鎭
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