TRAVEL & EXPERIENCE

上空から見下ろすリトルアイランド。Photo by Michael Grimm

マンハッタンに新しい島、リトルアイランド
街にいるのに、まるでそこを抜け出してきたかのような非日常感とワクワク感が待ち受ける場所。そうした意味で、マンハッタンに誕生したばかりの「リトルアイランド」は公共空間の新たなあり方のお手本といえよう。
リトルアイランド(Little Island)はマンハッタン西部のハドソン川沿いに新たに登場した公園である。だが一口に公園で済ませてしまってはもったいない。何とも個性的だからだ。まず一つ目、水に浮いている。二つ目に、島にしては形が四角に整いすぎているし、公園と呼ぶには地形があまりにも起伏に富んでいる。最後に、毎日がフェスティバルのようににぎわっている。この奇想天外なスポットの正体を知りたくはないか。

川沿いの遊歩道から眺めるリトルアイランド。Photo by Michael Grimm

水の上に浮かぶ公園
リトルアイランドは2012年のハリケーン・サンディで大きな被害を受けたマンハッタン西部のハドソン川沿い、ピア(埠頭)54とピア56の間にあたるため、「ピア55のリトルアイランド(Little Island at Pier 55)」とも呼ばれる。マンハッタンの地図を頭の中に描いたなら、チェルシーマーケットとホイットニー美術館の間、ウエスト13ストリートに印を付けることになる。このプロジェクトは2013年にさかのぼる。島が独特な存在感を放つことになった裏には、億万長者バリー・ディラー(Barry Diller)の奇抜なビジョンがあった。
「ニューヨーカーとニューヨークを訪れるすべての人たちが過ごせる場所をつくりたいと思いました。人々が一目で魅了され、利用して幸せを感じる、そんな空間のことです」。
実業家で慈善家のバリー・ディラー

角を曲がるたびに新しい景色が広がる。Photo by Michael Grimm

米メディアグループ、IACインタラクティブコープ会長のバリー・ディラーと妻で著名ファッションデザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグは、ニューヨークを訪れる人たちのために何か特別な贈り物をしたいと考えた。その願いに、埠頭跡を活用しようとした公益法人ハドソン・リバー・パーク・トラスト(Hudson River Park Trust)の計画がピタリとはまり、夫妻は快く2億6000万ドル(約287億円)を出資した。あついパートナーシップにより、杭しか残っていなかったかつての埠頭が復元へ導かれた。
桟橋跡から得たモチーフ
おもしろいことに、ここのデザインを任されたイギリスの建築事務所ヘザウィック・スタジオ(Heatherwick Studio)の関心を引き付けたのはまさにその杭だった。かつて桟橋を支えていた木杭の残骸が埠頭としてのアイデンティティーをつないでいきたいと考えていた建築家にデザイン上のモチーフを与えた。そうして280本の巨大なコンクリートの杭が準備された。水上に設置される公園とあって、建設も一筋縄ではいかなかった。支持層となる川の岩盤の厚さを測るだけで3週間を要したという。おまけに杭の打ち込み作業は誤差を許さない完璧さが求められ、結果的に全て打ち込むのに10カ月を要した。一方、ピア54にあった木杭はそのまま残すことで、水生生物の巨大な生息地を安全に保全することができた。

公園の彫刻的な姿を形作るチューリップポット。Photo by Michael Grimm

プレーグラウンドからのニューヨークの景色。Photo by Michael Grimm

スロープに沿ってつくられたホワイトガーデン。Photo by Signe Nielsen

ハイライトはここからだ。それぞれ高さに変化をつけたコンクリート製の杭の上にチューリップの花冠型のコンクリート製ポットを載せた。その数は132個で、公園の彫刻的な輪郭を形成している。チューリップポット(Tulip Pot)という呼び名の通り、鉢の役割を担う。中に土を入れて芝や木などを植え、人々がぶらぶら歩ける公園の表面を整えた。4~6個ずつスチールでつなげられたこれらのポットは、ひとつとして同じ形のものはない。建築家はまた、島と陸地の間に2本の橋をかけることで、別の空間に旅する高揚感を高める効果を狙った。
「島へ渡るその感覚は、あなたが変わり、別のことを感じ、何かが起こるのを自分自身に許すものなのです」
建築家トーマス・ヘザウィック

南西の丘で迎えるサンセット。Photo by Michael Grimm

南西のコーナーは園内で最も高い場所にある眺望ポイントだ。Photo by Michael Grimm

奇抜で興味の尽きないオズの世界を夢見る
大勢の人々が共有する公共空間を礼賛するバリー・ディラーは、リトルアイランドを世界でここにしかない、興味をかき立てる場所にしようと、「もっと、もっと高く」と建築チームを繰り返し鼓舞したという。その結果、さまざまな高さのチューリップポットによって起伏のあるドラマチックな地形が完成した。どこに足を向けても、違う景色と新鮮な気分を味わえる。例えば平坦な場所で普通の公園のようなくつろぎと和やかさを感じさせるかと思えば、傾斜の突き当たりの丘はさながら展望台のごとく街のスカイラインと川のパノラマビューを見せてくれる。来園者がこうした特別な環境を存分に楽しめるよう、ちょっとした山道や遊歩道、階段などを緻密(ちみつ)に配置したことも特徴に挙げられる。見知らぬ人と予期せぬ場所ですれ違っては交わるという愉快な経験は、子ども時代の遊園地での思い出をよみがえらせる。

公園のあちこちに置かれた木のベンチ。Photo by Michael Grimm

園内に植えられたケヤキ(Zelkova serrata)「グリーンベース(Green Vase)」。Photo by Michael Grimm

園内を生気で満たしたのは、ニューヨーク拠点のランドスケープ設計事務所MNLAを率いるランドスケープデザイナーのシグニー・ニールセン(Signe Nielsen)だ。彼女はここを「水の上に浮かぶ木の葉」をイメージし、四季を通じて人々が心安らかに楽しめる環境にしようと心を砕いた。ニューヨークの厳しい冬にも耐える土着の木や植物を選ぶなど、全部で114本の木と6万6000の球根植物を植えた。そびえ立つ木々はまるでこの島が昔からここにあったかのように風景になじんでいる。大きなものでは18メートルの高さまで育つという。
 

アンフで公演中の「Pigpen Theatre Co.」。Photo Courtesy of Little Island

活気に満ちたパフォーマンスアーツの新世界
ここの特異な地形にはまた別の意図が潜む。園内を進むにつれ上に向かって伸びる両サイドの傾斜は、強風を防いで園内を居心地良くし、その内側に大型の野外劇場を形作った。傾斜面に沿って客席が設けられた円形劇場「アンフ(The Amph)」は、約700人の観客を収容できる(観劇は有料)。これはニューヨーク舞台芸術界の頼もしい後援者の役割を果たすことになるリトルアイランドのもう一つのアイデンティティーを表す。ディラー・フォン・ファステンバーグ・ファミリー財団は向こう20年間の公演プログラム支援と公園維持管理に対する別途の財政負担を約束済みだ。ここでは週に6日、地元のミュージシャンとパフォーマーが音楽やサーカス、ダンス、コメディーなどを披露し、すべての年齢層を対象にしたワークショッププログラムも実施される。ほとんどのイベントが無料だ。
園内にはほかにも、200人まで収容可能な芝生とつながっている野外ステージ「グレード(The Glade)」、ニューヨーク5区から出店した小規模レストランの特別メニューとドリンクを楽しめる憩いの広場「プレーグラウンド(Play Ground)」がある。
公園の入場は無料。混雑が予想される時間帯は、時間指定の入場予約をオンラインで行う必要がある。イベントスケジュールもホームページで確認することができる。

開園時間 午前6時から翌日午前1時まで
ホームページ リトルアイランド 

COURTESY OF LITTLE ISLAND

ニューヨークでの滞在:ロッテニューヨークパレス
ロッテニューヨークパレスは19世紀末に建てられた金融家、ヘンリー・ビラードの邸宅と55階の近代風タワーが共存するホテルだ。米国ドラマ「ゴシップ・ガール」をはじめ多くの映画に登場し、ニューヨーク旅行の必須コースとして定着した。909の客室を持ち、15世紀イタリアの大聖堂をモチーフにした美しい庭園のほかレストランのビラード、高級サロンのレアリティーズ、カクテルバーのトラブルズ・トラストなどのレストランやバーがある。

住所455 Madison Avenue at 50th Street, New York
電話 +1-800-804-7035
ホームページ www.lottenypalace.com
September 2021 編集:鄭宰旭
文:韓叡俊
資料提供: リトルアイランド

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